ユークリッド原論をどう読むか(1)
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ユークリッド原論
第1巻
命題1ー8(3辺相等2)
(3辺相等による合同)
もし
二つの三角形において
2辺が2辺にそれぞれ等しく、
底辺も底辺に等しけれ
ば、
等しい辺にはさまれた
角もまた等しい
であろう。
ABC、DEFを
2辺AB、ACが2辺DE、DFに、
すなわち
ABがDEに、
ACがDFに
それぞれ等しい二つの三角形
とせよ。
そして
底辺BCも底辺EFに等しい
とせよ。
-
三角(A,B,C)、
点(E)、
点(F,EF=BC)
をとると、
命題1ー7の補足(作図.底辺に対する他の2辺の交点)
により、
EからFを見て、
BからCを見てAがある側と同じ側に限定して、
点(D,DE=AB,DF=AC)
をとっている。
-
AB=DE、AC=DF、BC=EF
となっている。
角BACも角EDFに等しい
と主張する。
三角形ABCが
三角形DEFに重ねられ、
点Bが点Eの上に、
線分BCがEFの上におかれる
ならば、
BCはEFに等しい
から、
点CもFに重なる
であろう。
-
定義1ー4(直線)
により、
公理1ー7の補足(線分・角は大か等か小)
が成立することによる。
-
重ね合わせの論証方法である。
-
B≡E、C≡F、
BC≡CF
となっている。
すると[そうすれば]、
BCがEFに重なる
から
BA、ACも
ED、DFに重なる
であろう。
なぜなら[もし]
底辺BCが底辺EFに重なり、
辺BA、ACがED、DFに重ならず、
EG、GFのようにずれる
ならば、
同一の線分上に
1点において交わる2線分が与えられ、
それとそれぞれ等しく
同じ側に異なった点で交わり
同じ端をもつ
他の2線分が作られる
ことになるであろう。
ところが
それはつくられない。
それゆえ
底辺BCが底辺EFに重ねられる
と、
辺BA、ACがED、
DFに重ならない
ことはありえない。
ゆえに
重なるであろう。
-
背理法による。
-
(BA,AC)≡(ED,DF)
となっている。
したがって
角BACも角EDFに重なり
それに等しい
であろう。
-
前節、
公理1ー7(等しい)
による。
-
∠BAC=∠EDF
となっている。
よって
もし
二つの三角形において
2辺が2辺にそれぞれ等しく、
底辺も底辺に等しけれ
ば、
等しい辺にはさまれた角も
また等しい
であろう。
-
ここでは、
底辺に対する角が等しい
ことをいっている。
これが証明すべきことであった。
-
いわゆる三辺相等の合同条件である。
しかし、
この命題では、
2つの三角形が等しい
ことについては明言していない。
対応する2辺とその間の角について、
それぞれ等しいことが論証された
から、
命題1ー4(2辺挟角相等)
により、
2つの三角形が等しい
ことも証明される。
すなわち、
2つの三角形において
3つの辺がそれぞれ等しけれ
ば、
対応する角も等しく、
2つの三角形が等しい。
(以下、命題1ー8の補足(3辺相等による合同)という。)
- 命題1-8の補足は、
△ABC、DEF
に対して、
AB=DE、AC=DF、
BC=EF
ならば、
△ABC≡△DEF
のことである。
-
この命題についても
動かして重ね合わせる証明法であり、
特段の作図は行っていない。
命題1ー4(2辺挟角相等)
と同様
重ね書き
と見ることもできる。
- 命題1-8は、
△ABC、DEF
に対して、
AB=DE、AC=DF、
BC=EF
ならば、
∠BAC=∠EDF
のことである。
-
- 命題1-8の補足(3辺相等による合同)は推論用命題である。
前提 | 作図 | 推論 |
定義 | |
|
公準 | |
|
公理 | |
|
命題 | |
1-4、1-8 |
その他 | |
重ね合わせ、背理法 |
- 命題1-8は推論用命題である。
今回は、
ここで紙面が尽きてしまった。
第一巻の最後は
命題48ピタゴラスの定理の逆である。
せめてここまでは書き続けたいと思っている。
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