ユークリッド原論をどう読むか(13)
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ユークリッド原論

第9巻
 
命題9ー13(素数の累乗はその累乗だけが割り切る)
もし
 任意個の
 単位から始まり
 順次に比例し,
 単位の次の素数である
ならば,
 最大
 比例するのなかにある以外の
 いかなるにも割り切られない
であろう。




 単位から始まり
 順次に比例する
 A、B、C、Dがある
とし、
 単位の次のAが素数である
とせよ。

 それらのうちで最大Dは
 A、B、C以外の他のいかなるにも
 割り切られない
であろうと主張する。

もし
 可能ならば

 [Dが]
 Eによって割り切られる
とし、
 EがA、B、Cのいずれとも
 同じでない
とせよ。

そうすれば
 Eが素数でない
ことは明らかである。

なぜならもし

 Eが素数≪であり≫
[ならば]、

 Dを割り切る

≪ならば≫[から]、
 [A、B、Cと異なる素数Eが]  素数であるAをも
 それと同じでないのに割り切る
ことになるであろう。

 これは不可能である。

それゆえ
 Eは素数でない。

ゆえに
 合成数である。

ところが
 すべての合成数
 何らかの素数割り切られる。

したがって
 Eは何らかの素数割り切られる。
      [......(1)]

次に
 A以外のいかなる素数にも
 割り切られない
であろうと主張する。

なぜならもし

 Eが[Aの]他の[素]数割り切られ、

 EがDを割り切る

ならば、
 その[Aの]他の[素]数もDを割り切る
であろう。

したがって
 [Aの他の素数が]
 素数であるAをも
 それと同じでないのに割り切る
であろう。

 これは不可能である。

ゆえに
 AはEを割り切る
      [......(2)]

そして
 EはDを割り切る

から、
 そのをFとせよ。
      [......(a)]

 FはA、B、Cのいずれとも
 同じでない
と主張する。

もし
 FがA、B、Cの一つと同じ
《であり》[ならば]、

 [Fが]
 Dを割っ
 Eである

《ならば》[から]、
 A、B、Cの一つが
 Dを割っもEである。

ところが
 A、B、Cの一つが
 Dを割っ
 A、B、Cのいずれかである。

したがって
 EはA、B、Cの一つと
 同じである。

 これは仮定に反する。

それゆえ
 FはA、B、Cの一つと
 同じではない。
      [......(3)]

同様にして
 Fが素数でない
ことを証明することによって
 FがAに割り切られる
ことを証明しうる。
      [......(4)]

なぜならもし

 Fが素数であ《り、》[る
ならば]

 Dを割り切る

《ならば、》[から]
 [素数Fが]
 素数であるAをも
 それと同じでないのに割り切る
であろう。

 これは不可能である。

ゆえに
 Fは素数でない。

したがって
 合成数である。

ところが
 すべての合成数
 何らかの素数割り切られる。

それゆえ
 Fは何らかの素数割り切られる。

次に
 A以外のいかなる素数にも
 割り切られないであろう
と主張する。

なぜなら[もし]

 何らかの[Aの]他の素数がFを割り切《り、》[る
ならば、]
 FがDを割り切る

《ならば》[から]、
 その[Aの]他の素数もDを割り切る
であろう。

ゆえに
 [Fの約数でAの他の素数が]
 素数であるAをも
 それと同じでないのに割り切る
であろう。

 これは不可能である。

したがって
 AはFを割り切る
     [......(5)]

そして
 EがDを割っはFである

から、
 EはFにかけてDをつくった。

ところが
 AもCにかけてDをつくった。

したがって
 A、CのはE、Fの等しい

ゆえに
 比例し、AがEに対するように
 FがCに対する

ところが
 AはEを割り切る

それゆえ
 FもCを割り切る
 その[C/F]をG
とせよ。
      [......(b)]

同様にして
 GがA、Bのどちらとも同じでなく、
 Aに割り切られる
ことを証明しうる。
      [......(6)]

そして
 FがCを割っはGである

から、
 FはGにかけてCをつくった。

ところが
 AもBにかけてCをつくった。

したがって
 A、BのはF、Gの等しい

それゆえ
 比例し、
 AがFに対するように
 GがBに対する

ところが
 AはFを割り切る

ゆえに
 GもBを割り切る

 そのをH
とせよ。
      [......(c)]

同様にして
 HはAと同じでない
ことを証明しうる。
                  ・・・(7)
そして
 GがBを割っはHである

から、
 GはHにかけてBをつくった。

ところが
 Aは2乗してBをつくった。


したがって
 H、GのはAの平方数等しい


ゆえに
 HがAに対するように
 AがGに対する

ところが
 AはGを割り切る

それゆえ
 Hも素数であるAを
 それと同じでないのに割り切る
ことになる。

 これは不合理である。


したがって
 最大Dは
 A、 B、 C以外の他のいかなるにも
 割り切られない
であろう。


 これが証明すべきことであった。

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