ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論
第10巻
命題10ー29助b
(作図.和が平方数でない2平方数)
補助定理II
和が
平方数
でない
2つの
平方数
を見いだすこと。
平方数は、
定義10ー19
による。
先に述べたように
AB、BCの
積
が
平方数
、
CAが
偶数
であるとし、
CAがDにおいて2
等分
された
とせよ。
先に述べたようには、
補助定理1
で述べたことを
うけている。
「数(について)・・・とせよ」は、
コメント4(命題7ー1)
参照のこと。
AB×BC;平方数
CA;偶数
D;CAの中点
となっている。
そうすれば
AB、BCの
積
である
平方数
と
CDの
平方数
の和は
BDの
平方数
に
等しい
ことは明らかである。
前節、
命題10ー29助a
(和も平方数である2平方数)
による。
AB×BC=K^2
K^2+CD^2=BD^2
となっている。
単位
DEがひかれた
とせよ。
命題1ー3の補足
(作図.等しい線分となる点)
による。
CEを考える
ということである。
そうすれば
AB、BCの
積
とCEの
平方数
の和は
BDの
平方数
より
小さい
。
[......(1)]
前節、
公理1ー4の補足2
(不等なものから等しいものをひく)
による。
AB×BC=K^2
K^2+CE^2<BD^2
となっている。
そこで
AB、BCの
積
である
平方数
と
CEの
平方数
の和は
平方数
でない
であろうと主張する。
もし
平方数
である
ならば、
背理法の仮定を述べようとしている。
単位
が分けられることがない
ためには、
それはBEの
平方数
に
等しい
か
または
BEの
平方数
より
小さい
かであり、
大きくはあり得ない。
(1)
、
命題8ー11
(平方数の比、比例中項、辺の比の2乗)
による。
もし可能ならば、
「もし可能ならば」は、
コメント2(命題1−7)
参照のこと。
[AB、BCの
積
と
CEの
平方数
の和が
BEの平方数に等しい場合
と
BEの平方数より小さい平方数の場合
がある
]
まずAB、BCの
積
と
CEの
平方数
の和が
BEの
平方数
に
等しい
とし、
場合分けの1である。
AB×BC+CE^2=BE^2
としている。
GAが
単位
DEの2
倍
である
とせよ。
[......(a)]
命題1ー3の補足
(作図.等しい線分となる点)
により、
AB上にG’、Gを
AG'=G'G
となるようにとる。
GA=2×DE
となっている。
そうすれば
AC全体は
CD全体の2
倍
であり、
命題の設定
による。
AC=2×CD
となっている。
そのうち
AGはDEの2
倍
である
(a)
による。
AG=2×DE
となっている。
から、
残りのGCも
残りのECの2
倍
である。
前節、前々節、
命題5ー5
(同数倍の差1)
公理1ー1
(同じものに等しい)
による。
GC=ACーAG
=2×DCー2×DE
=2×(DCーDE)
=2×EC
となっている。
したがって
GCはEで2
等分
された。
前節、
定義の補足2(公理1ー6)
(n等分・n分の1)
による。
GE=EC
となっている。
したがって
GB、BCの
積
とCEの
平方数
の和は
BEの
平方数
に
等しい
。
前節、
命題2ー5
(和と差の積は平方の差1)
による。
GB×BC+CE^2=BE^2
となっている。
ところが
AB、BCの
積
と
CEの
平方数
の和も
BEの
平方数
に
等しい
ことが仮定される。
場合分けの1の仮定
による。
AB×BC+CE^2=BE^2
となっている。
したがって
GB、BCの
積
と
CEの
平方数
の和は
AB、BCの
積
と
CEの
平方数
の和に
等しい
。
前節、前々節、
公理1ー1
(同じものに等しい)
による。
GB×BC+CE^2=AB×BC+CE^2
=BE^2
となっている。
そして
双方からCEの
平方数
がひかれる
と、
ABはGBに
等しく
なる。
前節、
公理1ー3
(等しいものから等しいものをひく)
により、
GB×BC=AB×BC
となり、
公理の補足5(定義5ー1)
(等を等で割る)
による。
GB=AB
となっている。
これは不合理である。
(a)
により、
GB+GA=AB、
GA=2×DE
となっているが、
前節では、
GB=AB
となっている。
したがって
AB、BCの
積
と
CEの
平方数
の和は
BEの
平方数
に
等しく
ない。
場合分けの1は、
背理法により、
あり得ない
ということである。
次に
[AB、BCの積と
CEの平方数の和が
BEの
平方数
より小さい平方数の場合
、]
《BEの
平方数
より小さくもない
と主張する。》
場合分けの2である。
もし可能ならば
[AB、BCの積と
CEの平方数の和が]
BFの
平方数
に
等しい
とし、
第2段階の背理法の仮定を
述べようとしている。
「もし可能ならば」は、
コメント2(命題1−7)
参照のこと。
AB×BC+CE^2=BF^2
F;CE上
となっていて、
FはBC上にはない。
なぜなら、
以下の通りである。
背理法の仮定として、
FがBC上にある
ならば、
AB、BC>BF
となっており、
公理の補足9(定義7ー16)
(大きい(小さい)数の積は大きい(小さい)
により、
AB×BC>BF^2
となるから、
AB×BC+CE^2=BF^2
と矛盾する。
HAをDFの2
倍
とせよ。
命題1ー3の補足
(作図.等しい線分となる点)
により、
AH'=DF、
H'H=DF
となるように
H'、Hをとる。
AH=2×DF
となっている。
HCもCFの2
倍
となるであろう。
命題の設定
により、
AC=2×DC
となっており、
前節、
命題5ー5
(同数倍の差1)
公理1ー1
(同じものに等しい)
により、
HC=ACーAH
=2×DCー2×DF
=2×(DCーDF)
=2×CF
となる。
HC=2×CF
となっている。
したがって
CHはFにおいて2
等分
され、
前節による。
CF=FH
となっている。
それゆえ
HB、BCの
積
と
FCの
平方数
の和は
BFの
平方数
に
等しい
。
前節、
命題2ー5
(和と差の積は平方の差1)
による。
HB×BC+FC^2=BF^2
となっている。
ところが
AB、BCの
積
と
CEの
平方数
の和は
BFの
平方数
に
等しい
ことが仮定される。
第2段階の背理法の仮定
による。
AB×BC+CE^2=BF^2
となっている。
したがって
HB、BCの
積
と
CFの
平方数
の和は
AB、BCの
積
と
CEの
平方数
の和に
等しい
であろう。
前節、前々節、
公理1ー1
(同じものに等しい)
による。
HB×BC+FC^2
=AB×BC+CE^2
となっている。
これは不合理である。
HB<AB、
公理の補足6(定義7ー16)
(大きい(小さい)数をかけると大(小))
により、
HB×BC<AB×BC
となり、
FC<CE、
公理の補足9(定義7ー16)
(大きい(小さい)数の積は大きい(小さい))
により、
FC^2<CE^2
となり、
公理1ー4の補足3
(大きい(小さい)ものどうしを加える)
により、
HB×BC+FC^2
<AB×BC+CE^2
となって矛盾するから。
したがって
AB、BCの
積
と
CEの
平方数
の和は
BEの
平方数
より
小さい
ものに
等しく
はない。
場合分けの2は、
背理法により、
ありえないということである。
AB×BC+CE^2=BF^2
BF<BE
となる数BFは存在しない。
そして
BEの
平方数
に
等しく
ない
ことは先に証明された。
場合の1
である。
[2つの場合について証明され、
]
したがって
AB、BCの
積
と
CEの
平方数
の和は
平方数
ではない。
これが証明すべきことであった。
振り返れば、
定義7ー17
(平面数)
に基づき
命題の補足(定義7ー2)
(作図.数n)
により、
平面数ABをとり、
命題8ー20の補足
(作図.相似な平面数の辺)
により、
ABが偶数であれば偶数の
奇数であれば奇数の
ABに相似な平面数BC'をとる。
命題1ー3の補足
(作図.等しい線分となる点)
により
AB上にCを、
BC=BC'となるようにとると、
ACは偶数であり、
命題6ー9
(作図.線分のn分の1)
により、
ACの中点Dをとると、
ADは数である。
ここで、
命題1ー3の補足
(作図.等しい線分となる点)
により、
単位DEをCD上にとり、
数CEとする。
また、
命題8ー18
(相似な平面数と比例中項数)
により、
AB、BCの比例中項数BEをとる。
そうすると、
BE^2+CE^2は
平方数とならない。
すなわち、
平面数AB上に
ACが偶数となるように
相似な平面数BCをとり、
ACの中点Dをとって、
単位DEをCD上に
とれば、
数CE、EBについて、
EB^2+CD^2は
平方数とならない。
命題10ー29助2
は、
A、B:共に偶数か共に奇数、
A=m^2×B(相似な平面数)、
A>B、
ならば、
C:=(AーB)/2、
D:=Cー1
E:比例中項(A、B)
とすると、
D^2=(Cー1)^2<<<
E^2=A×B=(m×B)^2 <<<
D^2+E^2:平方数でない
のことである。
命題10ー29助2
は作図・作図用命題である。
前提
作図・作図
推論
定義
補2(理1-6)
公準
公理
1-1
,
1-3
,
1-4補2
,
1-4補3
,
補5(義5-1)
,
補6(義7-16)
,
補8(義7-16)
命題
1-3補
,
10-29助a
2-5
,
5-5
,
補8(義7-16)
,
8-11
その他
コ4(題7-1)
コ2(題1-7)
, 場合分け, 2段階の背理法
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