ユークリッド原論をどう読むか(12)
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ユークリッド原論
第8巻
命題8ー2(構成.順次に比例する最小の数)
対
(順次比例の外項と平方数、立方数)
順次に比例する、
命じられた個数の、
与えられた比をなす数のうちで
最小のものを
見いだすこと。

A対Bを
最小の数における
与えられた比
とせよ。
-
A対Bという表現が
初めて登場する。
A対Bとは
AのBに対する比のことである。
(以下、定義の補足(命題8ー2)
という。)
Euclid's Elements
(Clark University Professor D.E.Joyceの
http://aleph0.clarku.edu/~djoyce/java/elements/elements.html)
においては、
the ratio of A to B
となっている。
上記の英文
には
命題6−19
(相似な三角形の比は辺の比の2乗)において、
a ratio duplicate of that which BC has to EF
という表現があり、
中村幸四郎他訳では、
BCがEFに対する比の2乗の比
となっている。
また、
上記の英文
には、
命題6−23
(等角な平行四辺形と辺の比の積)において、
the ratios of K to L
という表現もあり、
中村幸四郎他訳では、
KがLに対する比
となっている。
同じ命題で、
the ratio of K to M is compounded
of the ratio of K to L and of that of L to M
という表現もある。
中村幸四郎他訳では、
KがMに対する比は
KがLに対する比と
LがMに対する比との積である
となっている。
K対Mは
K対Lと
L対Mとの積である
と表現しても
意味は変わらない
から
英文ではこの段階で
A対B
という表現が成立している
と考えられる。
-
「数(について)・・・とせよ」は、
コメント4(命題7ー1)
を参照せよ。
-
A:B(最小)
をとっている。
このとき
順次に比例する、
命じられた個数の、
A対Bの比をなす数のうちで
最小のものを見いださね
ばならぬ。
《4》[m]を命じられた個数
とし、
Aが
2乗してC1,1をつくり、
Bにかけて《D》[C1,2]をつくり、
[......(a)]
-
C1,1=A×A、
C1,2=A×B
となっている。
さらに
Bが2乗して《E》C1,3をつくり、
[......(b)]
さらに
Aが《C、D、E》[C1,1、C1,2、C1,3]にかけて
《F、G、H》[C2,1、C2,2、C2,3]をつくり、
[......(c)]
-
C2,1=A×C1,1=A×(A×A)、
C2,2=A×C1,2=A×(A×B)、
C2,3=A×C1,3=A×(B×B)
となっている。
Bが《E》[C1,3]にかけて《K》C2,4をつくる[。
同様に、
AがCk,1、…、Ck,k+2にかけて
Ck+1,1、…、Ck+1,k+2]をつくり、
BがCk,k+2にかけてCk+1,k+3をつくる]
とせよ。
[......(d)]
-
C2,4=B×C1,3=B×(B×B)
となっている。
そうすれば
Aが2乗して《C》[C1,1]をつくり、
Bにかけて《D》[C1,2]をつくった
から、
-
C1,1=A×A、
C1,1=A×B
となっている。
AがBに対するように、
C[1,1]が《D》[D1,2]に対する。
[......(1)]
-
命題7ー17(同数を各項にかけても比は同じ)
による。
-
A:B=C1,1:C1,2
となっている。
また
AがBにかけて《D》[C1,2]をつくり、
Bが2乗して《E》[C1,3]をつくった
-
C1,2=A×B、
C1,3=B×B
となっている。
から、
A、Bの双方はBにかけて
《D、E》[C1,2、C1,3]の双方をつくった。
-
(C1,2、C1,3)=(A、B)×B
となっている。
それゆえ
AがBに対するように、
《DがE》[C1,2がC1,3]に対する。
[......(2)]
-
命題7ー17(同数を各項にかけても比は同じ)
による。
-
A:B=C1,2:C1,3
となっている。
ところが
AがBに対するように、
《CがD》[C1,1がC1,2]に対する。
-
(1)による。
-
A:B=C1,1:C1,2]
となっている。
ゆえに
《CがD》[C1,1、C1,2]に対するように、
《DがE》[C1,2がC1,3]に対する。
[......(A)]
-
前節、前々節、命題5ー11 (同一の比に同じ比)
による。
-
C1,1、C1,2=C1,2:C1,3
となっている。
そして
Aが《C、D》[C1,1、C1,2]にかけて
《F、G》[C2,1、C2,2]をつくった
-
(c)による。
-
(C2,1、C2,2)=A×(C1,1、C1,2)
となっている。
から、
《CがD》[C1,1がC1,2]に対するように、
《FがG》[C2,1がC2,2]に対する。
-
命題7ー17(同数を各項にかけても比は同じ)
による。
-
C1,1がC1,2=C2,1:C2,2
となっている。
ところが
《CがD》[C1,1がC1,2]に対するように、
AがBに対した。
-
(1)による。
-
C1,1:C1,2=A:B
となっている。
したがって
AがBに対するように、
《FがG》[C2,1がC2,2]に対する。
[......(3)]
-
前節、前々節、
命題5ー11 (同一の比に同じ比)
による。
-
A:B=C2,1:C2,2
となっている。
また
Aが《D、E》[C1,2、C1,3]にかけて
《G、H》[C2,2、C2,3]をつくった
-
(c)による。
-
(C2,2、C2,3)=A×(C1,2、C1,3)
となっている。
から、
《DがE》[C1,2がC1,3]に対するように、
《GがH》[C2,2、C2,3]に対する。
-
命題7ー17(同数を各項にかけても比は同じ)
による。
-
C1,2:C1,3=C2,2:C2,3
となっている。
ところが
《DがE》[C1,2がC1,3]に対するように、
AがBに対する。
-
(2)による。
-
C1,2:C1,3=A:B
となっている。
それゆえ
AがBに対するように、
《GがH》[C2,2、C2,3]に対する。
[......(4)]
-
前節、前々節、命題5ー11 (同一の比に同じ比)
による。
-
A:B=C2,2:C2,3
となっている。
そして
A、Bが《E》[C1,3]にかけて
《H、K》[C2,3:C2,4]をつくった
-
(c)、
(d)による。
-
(C2,3、C2,4)=(A、B)×C1,3
となっている。
から、
AがBに対するように、
《HがK》[C2,3がC2,4]に対する。
-
命題7ー17(同数を各項にかけても比は同じ)
による。
-
A:B=C2,3:C2,4
となっている。
ところが
AがBに対するように、
《FがG》[C2,1がC2,2]に、
《GがH》[C2,2がC2,3]に対する。
-
(3)、
(4)による。
-
A:B=C2,1:C2,2=C2,2:C2,3
となっている。
ゆえに
《FがG》[C2,1がC2,2]に対するように、
《GがH》[C2,2がC2,3]に、
《HがK》[C2,3がC2,4]に対する。
-
前節、前々節、命題5ー11 (同一の比に同じ比)
による。
-
C2,1:C2,2=C2,2:C2,3=C2,3:C2,4
となっている。
したがって
《C、D、E》[C1,1、C1,2、C1,3]と
《F、G、H、K》[C2,1、C2,2、C2,3、C2,4]とは
A対Bの比をなして比例する。
[同様に、
Ck,1、Ck,2、…、Ck,k+2と
Ck+1,1、Ck+1,2、…、Ck+1,k+2、Ck+1,k+3とは
A対Bの比をなして比例する。]
-
(1)、
(A)、
前節、前々節による。
-
C1,1:C1,2=C1,2:C1,3=A:B、
C2,1:C2,2=C2,2:C2,3=C2,3:C2,4=A:B、
…
Ck,1:Ck,2=…=Ck,k+1:Ck,k+2=A:B、
Ck+1,1:Ck+1,2=…=Ck+1,k+2:Ck+1,k+3=A:B、
となっている。
次に
最小でもある
と主張する。
なぜなら
A、Bは
それらと同じ比をもつ数のうち最小であり、
同じ比をもつ数のなかで最小である数は
互いに素である
から、
A、Bは
互いに素である。
そして
A、Bは2乗して
それぞれ《C、E》[C1,1、C1,3]をつくり、
-
(a)、
(b)、
による。
-
(C1,1、C1,3)=(A×A、B×B)
となっている。
《C、E》[C1,1、C1,3]にかけて
それぞれ《F、K》[C2,1、C2,3]をつくった。
[同様に、
Ck,1、Ck,k+2にかけて
Ck+1,1、Ck+1,k+3をつくった。]
-
(c)、
(d)、
による。
-
(C2,1、C2,3)=(A×C1,1、B×C1,3)、
(Ck+1,1、Ck+1,k+3)=(A×Ck,1、B×Ck,k+2)
となっている。
したがって
《C》[C1,1]は《E》[C1,3]と、
《F》[C2,1]は《K》[C2,4]と互いに素である。
[同様に
Ck+1,1はCk+1,k+3と互いに素である。]
-
命題7ー27(互いに素の2(3)乗は互いに素)
による。
-
C1,1;(互いに素)C1,3、
C2,1;(互いに素)C2,4
…
Ck+1,1;(互いに素)Ck+1,k+3
となっている。
ところがもし
順次に比例する任意個の数があり、
それらの外項が互いに素である
ならば、
それらと同じ比をもつ数のうち最小である。
それゆえ
《C、D、E》[C1,1、C1,2、C1,3]と
《F、G、H、K》[C2,1、C2,2、C2,3、C2,4]とは
A、Bと同じ比をもつ数のなかで最小である。
[さらに、
Ck+1,1、Ck+1,2、…、Ck+1,k+2、Ck+1,k+3は
A、Bと同じ比をもつ数のなかで最小である。]
-
前節、前々節による。
-
C1,1:C1,2=C1,2:C1,3;(最小3項)
C2,1:C2,2=C2,2:C2,3=C2,3:C2,4;(最小4項)
…
Ck+1,1:Ck+1,2=…=Ck+1,k+2:Ck+1,k+3(最小k+3項)
となっている。
これが証明すべきことであった。
系
これから
次のことが明らかである、
すなわち
もし
順次に比例する三つの数が
それらと同じ比をもつ数のうち最小である
ならば、
それらの外項は平方数であり、
もし
四つの数である
ならば、
立方数である。
(以下、命題8ー2の系2(順次比例の外項と平方数、立方数)という。)
- 命題8ー2は、
A:B(最小)
をとれば、
A^2:AB=AB:B^2(最小3項)
A^3:A^2B=A^2B:AB^2=AB^2:B^3(最小4項)
[以下同様]
のことである。
-
命題8ー2の系2(順次比例の外項と平方数、立方数)
前提 | 作図 | 推論 |
定義 |
|
|
公準 |
|
|
公理 |
|
|
命題 |
|
8-2
|
その他 |
|
|
- 命題8ー2は推論用命題である。
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