ユークリッド原論をどう読むか（１４）
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ユークリッド原論
第１０巻
命題１０ー８３（中項面積と有理面積との差に等しい正方形の辺に付加して全体と、平方で非通約、平方和が中項面積、全体と有理面積をかこむ線分は唯一）
中項面積と有理面積との差に等しい正方形の辺には
それに付加されて
全体と平方において通約
できず、
それらすなわち全体と
付加された線分との上の正方形の和を
中項面積とし、
それらによってかこまれる
矩形の２倍を
有理面積とする
ただ一つの線分が
ある。
ＡＢを
中項面積と有理面積との差に等しい正方形の辺とし、
ＡＢに
ＢＣが
付加された
とせよ。
そうすれぱ
ＡＣ、ＣＢは
平方において通約
できず
与えられた条件を
満たす。
-
命題１０ー３４（作図.２線分；平方で非通約、平方和が中項面積、矩形が有理面積）
により、
２線分をとり、
大きい方をＡＣ、
小さい方をＢＣ
とし、
命題１ー３（作図・等しい線分を切り取る）
により、
Ｂ’（ＡＣ；Ｂ’Ｃ＝ＢＣ）
をとり、
改めて、
Ｂ’をＢ
とする。
-
ＡＣ¬∩^2 ＢＣ、
正方(_ＡＣ)＋正方(_ＢＣ)；中項面積
矩形(ＡＣ、ＢＣ)；有理面積
ＡＣ＞ＢＣ
ＡＢ；中項面積と有理面積との差に等しい正方形の辺
となっている。
ＡＢには
同じ条件を
満たす
他のいかなる線分も
付加されない
と主張する。
もし
可能ならば、
ＢＤが
付加された
とせよ。
そうすれば
ＡＤ、ＤＢは
平方において通約
できず、
与えられた条件を
みたす。
-
背理法の仮定である。
-
ＡＤ¬∩^2 ＢＤ、
正方(_ＡＤ)＋正方(_ＢＤ)；中項面積
矩形(ＡＤ、ＢＤ)；有理面積
ＡＤ＞ＢＤ
となっている。
すると
前と同様
ＡＤ、ＤＢ上の正方形の和と
ＡＣ、ＣＢ上の正方形の和との
差は
矩形ＡＤ、ＤＢの２倍と
矩形ＡＣ、ＣＢの２倍との差
に等しく、
-
命題の設定、
背理法の設定
命題２ー７（差の平方）
により、
正方(_ＡＤ)＋正方(_ＤＢ)ー２矩形(ＡＤ、ＤＢ)
＝正方(_ＡＣ)＋正方(_ＣＢ)ー２矩形(ＡＣ、ＣＢ)
＝正方(_ＡＢ)
による。
-
正方(_ＡＤ)＋正方(_ＤＢ)ー（正方(_ＡＣ)＋正方(_ＣＢ)）
＝２矩形(ＡＤ、ＤＢ)ー２矩形(ＡＣ、ＣＢ)
となっている。
矩形ＡＤ、ＤＢの２倍は
矩形ＡＣ、ＣＢの２倍より
有理面積だけ
大きい。
なぜなら
両方とも
有理面積である
から。
したがって
ＡＤ、ＤＢ上の正方形の和は
ＡＣ、ＣＢ上の正方形の和より
有理面積だけ
大きい。
-
前節、前々節、
定義１０ー４の補足（有理面積、無理面積）
による。
-
正方(_ＡＤ)＋正方(_ＤＢ)ー（正方(_ＡＣ)＋正方(_ＣＢ)）
；有理面積
となっている。
これは不可能である。
なぜなら
両方とも
中項面積である
から。
したがって
ＡＢには
全体と
平方において通約
できず、
全体と共に
上述の条件を
みたす
他のいかなる線分も
付加されない。
よって
ただーつの線分のみが
付加される。
-
前節、背理法による。
-
ＡＢ；劣線分
ＡＣ¬∩^2 ＢＣ、
正方(_ＡＣ)＋正方(_ＢＣ)；中項面積
矩形(ＡＣ、ＢＣ)；有理面積
ＡＣ＞ＢＣ
となる
ＢＣは
唯一である
これが証明すべきことであった。
- 命題１０ー８３は、
命題１０ー３４（作図.２線分；平方で非通約、平方和が中項面積、矩形が有理面積）
により
ＡＣ、ＢＣ
ＢＣ¬∩^2 ＡＣ
正方(_ＡＣ)＋正方(_ＣＢ)；中項面積、
矩形(ＡＣ、ＣＢ)；有理面積、
ＡＢ；ＡＣーＢＣ、中項面積と有理面積との差に等しい正方形の辺
をとり、
ＡＤ、ＢＤ
ＢＤ¬∩^2 ＡＤ
正方(_ＡＤ)＋正方(_ＤＢ)；中項面積、
矩形(ＡＤ、ＤＢ)；有理面積、
ならば、
ＢＤ＝ＢＣ
のことである。
- 命題１０ー８３は推論用命題である。
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