ユークリッド原論をどう読むか(8)
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ユークリッド原論
第4巻
命題4ー12
(円に正五角形を
外接
)
与えられた
円
に
等辺
等角
な
五角形
を
外接
させること。
円は、
定義1ー15
による。
等辺は、
定義1ー20の補足
による。
等角は、
定義の補足(命題4ー11)
による。
五角形は、
定義の補足2(命題4ー11)
による。
与えられた
円
を
ABCDEとせよ。
円ABCDE
をとっている。
円
ABCDEに
等辺
等角
な
五角形
を
外接
させねばならぬ。
A、B、C、D、Eが
内接
された
五角形
の
角
の
点
と考えられ、
弧
AB、BC、CD、DE、EAが
等しい
とせよ。
【・・・(a)】
命題4ー11
(円に正五角形を内接)
により、
等辺等角な五角形を円に内接させる。
その時に円周上にある
頂点を順に、
A、B、C、D、Eとし、
溯って用いている。
角の点とは、
今日で言う頂点のことである。
この表現は
原論では初めてである。
正五角形ABCDE[;;(内接)円ABCDE)]
をとり、
A、B、C、D、E;共有点[正五角形ABCDE,円ABCDE]
となっている。
A、B、C、D、Eを通って
円
の
接線
GH、HK、KL、LM、MGがひかれ、
【・・・(b)】
命題3ー16の補足3
(円周上の点を通る接線)
により、
Aを通る接線GH、
Bを通る接線H’Kをひく。
命題1ー31の補足2
(交線の垂線)
により、
GHとH’Kは1点で交わる。
その点を改めてHとし、
溯って用いている。
以下、
K、L、M、Gも同様である。
交点H(接線(A,円ABCDE),接線(B,円ABCDE))
交点K(接線(B,円ABCDE),接線(C,円ABCDE))
交点L(接線(C,円ABCDE),接線(D,円ABCDE))
交点M(接線(D,円ABCDE),接線(E,円ABCDE))
交点G(接線(E,円ABCDE),接線(A,円ABCDE))
をとっている。
円
ABCDEの
中心
Fがとられ、
【・・・(c)】
命題3ー1
(作図.円の中心)
による。
中心F.円ABCDE
となっている。
FB、FK、FC、FL、FDが結ばれたとせよ。
公準1ー1
(作図.直線)
による。
線分FB、FK、FC、FL、FD
をとっている。
そうすれば
線分
KLは
ABCDEにCにおいて
接し
、
中心
Fから
接点
Cに
FCが結ばれたから、
(b)
(c)
による。
KL;接線(C,円ABCDE)、
FC;線分(接点C,中心F.円ABCDE)
となっている。
FCは
KLに
垂直
である。
命題3−16の系
(系.接線は直径と直角)
による。
FC⊥KL
となっている。
それゆえ
Cにおける
角
のおのおのは
直角
である。
【・・・(1)】
定義1ー10の補足2
(垂直) 、
命題1ー13
(直線と2直角1)
による。
∠FCK=∠FCL=∠R
となっている。
同じ理由で
点
B、Dにおける
角
も
直角
である。
∠FBK=∠FDL=∠R
となっている。
そして
角
FCKは
直角
であるから、
(1)
による。
∠FCK=∠R
となっている。
FK上の
正方形
は
FC、CK上の
正方形
の和に
等しい
。
命題1−47
(三平方の定理)
による。
正方(_FK)=正方(_FC)+正方(_CK)
となっている。
同じ理由で
FK上の
正方形
《も》[はさらに]
FB、BK上の
正方形
の和に
等しい
。
「も」については、
Euclid's Elements
(Clark University Professor D.E.Joyceの
http://aleph0.clarku.edu/~djoyce/java/elements/elements.html)
においては、
the square on FK also equals the sum of ・・・
となっている。
訳としては、「さらに」が妥当であると考える。
プログレッシブ英和中辞典では、
さらに、・・・もまた、やはり、同様に
を訳語にあげ、
The game slow, and it was also boring.
などを例示している。
正方(_FK)=正方(_FB)+正方(_BK)
となっている。
ゆえに
FC、CK上の
正方形
の和は
FB、BK上の
正方形
の和に
等しく
、
公理1ー1
(同じものに等しい)
による。
正方(_FC)+正方(_CK)=正方(_FB)+正方(_BK)
となっている。
そのうち
FC上の
正方形
は
FB上の
正方形
に
等しい
。
(c)
定義1ー15
(円)
により
FCとFBとは等しい
ことによる。
正方(_FC)=正方(_FB)
となっている。
したがって
残りの
CK上の
正方形
は
BK上の
正方形
に
等しい
。
公理1ー3
(等しいものから等しいものをひく)
による。
正方(_CK)=正方(_BK)
となっている。
それゆえ
BKは
CKに
等しい
。
【・・・(2)】
命題1−48の補足
(正方形の大等小と辺の大等小)
による。
BK=CK
となっている。
そして
FBは
FCに
等しく
、
定義1ー15
(円)
による。
FB=FC
となっている。
FKは
共通であるから、
2
辺
BF、FKは
2
辺
CF、FKに
等しい
。
(BF,FK)=(CF,FK)
となっている。
そして
底辺
BKは
底辺
CKに
等しい
。
(2)
による。
BK=CK
となっている。
ゆえに
角
BFKは
角
KFCに
等しい
。
命題1ー8
(3辺相等2)
による。
∠BFK=∠KFC
となっている。
《ところが》[また]
角
BKFは
角
FKCに
等しい
。
「ところが」については、
Euclid's Elements
(Clark University Professor D.E.Joyceの
http://aleph0.clarku.edu/~djoyce/java/elements/elements.html)
においては、
・・・, and the angle BKF equals ・・・
となっている。
論拠は
命題1ー8
(3辺相等2)
で同じであるから、 訳としては、「また」が妥当であると考える。
∠BKF=∠FKC
となっている。
したがって
角
BFCは
角
KFCの、
角
BKCは
角
FKCの2
倍
である。
【・・・(3)】
定義の補足(公理1ー5)
(同じもののn倍)
による。
∠BFC=2∠KFC、
∠BKC=2∠FKC
となっている。
同じ理由で
角
CFDも
角
CFLの、
角
DLCも
角
FLCの2
倍
である。
∠CFD=2∠CFL、
∠DLC=2∠FLC
となっている。
そして
弧
BCは
CDに
等しい
から、
B、C、Dは
円に内接する
等辺等角な五角形の頂点として
作図された。
そこで、
命題3ー28
(等しい弦は等しい弧を切り取る)
による。
弧BC=弧CD
となっている。
角
BFCも
角
CFDに
等しい
。
命題3ー27
(弧が等しければ角も等しい)
による。
∠BFC=∠CFD
となっている。
そして
角
BFCは
角
KFCの、
角
DFCは
角
LFCの2
倍
である。
(3)
による。
∠BFC=2∠KFC、
∠DFC=2∠LFC
となっている。
それゆえ
角
KFCも
角
LFCに
等しい
。
定義の補足(公理1ー6)
(半分) 、
公理1ー6
(同じものの半分)
による。
∠KFC=∠LFC
となっている。
ところが
角
FCKは
角
FCLに
等しい
。
(1)
による。
∠FCK=∠FCL
となっている。
ゆえに
FKC、FLCは
2
角
が2
角
に
等しく
、
1
辺
が1
辺
に
等しい
、
すなわち
それらに共通なFCをもつ
2つの
三角形
である。
△FKC≡△FLC
となっている。
したがって
残りの
辺
も
残りの
辺
に、
残りの
角
も
残りの
角
に
等しい
であろう。
命題1ー26
(2角挟辺相等)
による。
それゆえ
線分
KCは
CLに、
角
FKCは
角
FLCに
等しい
。
【・・・(4)】
KC=CL、
∠FKC=∠FLC
となっている。
そして
KCは
LCに
等しい
から、
KLは
KCの2
倍
である。
定義の補足(公理1ー5)
(同じもののn倍)
による。
KL=2KC
となっている。
同じ理由で
HKも
BKの2
倍
である
ことが証明されうる。
HK=2BK
となっている。
そして
BKは
KCに
等しい
。
(2)
による。
BK=KC
となっている。
ゆえに
HKも
KLに
等しい
。
公理1ー5
(同じもののn倍)
による。
HK=KL
となっている。
同様にして
HG、GM、MLのおのおのが
HK、KLの双方に
等しい
ことも証明されうる。
HG=GM=ML=HK=KL
となっている。
したがって
五角形
GHKLMは
等辺
である。
【・・・(5)】
定義1ー20の補足
(等辺)
による。
五角形GHKLM;等辺
となっている。
次に
等角
でもあると主張する。
角
FKCは
角
FLCに
等しく
、
角
HKLは
角
FKCの2
倍
であり、
角
KLMは
角
FLCの2
倍
である
ことが証明されたから、
(4)
,
(3)
で角BKCがHKL、
角DLCがKLMであることによる。
∠FKC=∠FLC、
∠HKL=2∠FKC、
∠KLM=2∠FLC
となっている。
角
HKLも
角
KLMに
等しい
。
公理1ー5の補足2
(等しいもののn倍、n倍に等しいもの)
による。
∠HKL=∠KLM
となっている。
同様にして
角
KHG、HGM、GMLおのおのも
角
HKL、KLMの双方に
等しい
ことが証明されうる。
∠KHG=∠HGM=∠GML=∠HKL=∠KLM
となっている。
それゆえ
5つの
角
GHK、HKL、KLM、LMG、MGHは
互いに
等しい
。
公理1ー1の補足
(等しいものに等しい)
による。
ゆえに
五角形
GHKLMは
等角
である。
定義の補足(命題4ー2)
(等角)
による。
五角形GHKLM;等角
となっている。
ところが
等辺
であることも
証明され、
(5)
による。
五角形GHKLM;等辺
となっている。
円
ABCDEに
外接
された。
定義4ー4
(外接(円に))
による。
五角形GHKLM;(外接)円ABCDE
となっている。
これが作図すべきものであった。
命題4ー12
は、
円ABCDE
に対して、
正五角形ABCDE[;;(内接)円ABCDE)]、
交点H(接線(A,円ABCDE),接線(B,円ABCDE))
交点K(接線(B,円ABCDE),接線(C,円ABCDE))
交点L(接線(C,円ABCDE),接線(D,円ABCDE))
交点M(接線(D,円ABCDE),接線(E,円ABCDE))
交点G(接線(E,円ABCDE),接線(A,円ABCDE))
線分FB、FK、FC、FL、FD
をとれば、
五角形GHKLM;等角、等辺、(外接)円ABCDE
のことである。
命題4ー12
は作図用命題である。
前提
作図
推論
定義
1-10補2
,
1-15
,
1-20補
,
補(理1-5)
,
補(理1-6)
,
4-4
,
補(題4-2)
公準
1-1
公理
1-1
,
1-1補
,
1-3
,
1-5
,
1-5補2
,
1-6
命題
1-31補2
,
3-1
,
3-16補3
,
4-11
1-8
,
1-13
,
1-26
,
1-47
,
1-48補
,
3-16系
,
3-27
,
3-28
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