ユークリッド原論をどう読むか(8)
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ユークリッド原論
第4巻
命題4ー13
(作図.正五角形に円を内接)
与えられた
等辺
等角
な
五角形
に
円
を
内接
させること。
等辺は、
定義1ー20の補足
による。
等角は、
定義の補足(命題4ー11)
による。
五角形は、
定義の補足2(命題4ー11)
による。
円は、
定義1ー15
による。
内接は、
定義4ー5
による。
与えられた
等辺
等角
な
五角形
を
ABCDEとせよ。
正五角形ABCDE
をとっている。
このとき
五角形
ABCDEに
円
を
内接
させねばならぬ。
角
BCD、CDEの双方が
線分
CF、DFの双方によって
2
等分
されたとせよ。
【・・・(a)】
そして
CF、DFが相会する
点
Fから
命題1ー9
(作図・角の2等分)
により、
角BCDがCFにより、
角CDEがDF’により
2等分される。
定義1ー19の補足3
(凸多角形)
により、
角BCD、CDEは
2直角より小さい。
公理1ー8の補足4
(大きい・小さいもののn倍・n等分)
により、
角FCD、F’DCは
直角より小さい。
よって、
公理1ー4の補足3
(和が等しく一方が大きい)
により、
角FCD、F’DCの和は
2直角より小さい。
したがって
公準1ー5
(平行線公準)
により、
CFとCF’は
1点で交わる。
なお、
この交点は、
定義1ー19の補足3
(凸多角形)
により、
辺CDについて、
他の辺と同じ側にある。
その交点を改めてFとし、
溯って用いている。
交点F(二等分線(∠BCD),二等分線(∠CDE))
をとっている。
線分
FB、FA、FEが
結ばれたとせよ。
公準1ー1
(作図.直線)
による。
線分FB、FA、FE
をとっている。
そうすれば
BCは
CDに
等しく
、
命題の設定
による。
BC=CD
となっている。
CFは
共通であるから、
2
辺
BC、CFは
2
辺
DC、CFに
等しい
。
そして
角
BCFは
角
DCFに
等しい
。
(a)
による。
(BC、CF)=(DC、CF)、
∠BCF=∠DCF
となっている。
それゆえ
底辺
BFは
底辺
DFに
等しく
、
三角形
BCFは
三角形
DCFに
等しく
残りの
角
は
残りの
角
に、
すなわち
等しい
辺
が対する
角
は
等しい
であろう。
命題1ー4
(2辺挟角相等)
による。
△BCF≡△DCF
となっている。
ゆえに
角
CBFは
CDFに
等しい
。
【・・・(1)】
∠CBF=∠CDF
となっている。
そして、
角
CDEは
角
CDFの2
倍
であり、
(a)
、
定義の補足(公理1ー5)
(同じもののn倍)
による。
∠CDE=2∠CDF
となっている。
角
CDEは
角
ABCに、
命題の設定
による。
∠CDE=∠ABC
となっている。
角
CDFは
角
CBFに
等しい
。
(1)
による。
∠CDF=∠CBF
となっている。
それゆえ
角
ABCは
線分
BFによって2
等分
された。
定義の補足2(公理1ー6)
(n等分・n分の1)
による。
BF;二等分線(∠ABC)
となっている。
同様にして
角
BAE、AEDの双方も
線分
FA、FEの双方によって
2
等分
されたことが証明されうる。
線分FA;二等分線(∠BAE)、
線分FE;二等分線(∠AED)
となっている。
そして
点
Fから
線分
AB、BC、CD、DE、EAに
垂線
FG、FH、FK、FL、FMが
ひかれたとせよ。
【・・・(b)】
命題1ー12
(作図・線分への垂線)
による。
垂線FG(F,AB)、
垂線FH(F,BC)、
垂線FK(F,CD)、
垂線FL(F,DE)、
垂線FM(F,EA)
をとっている。
そうすれば
角
HCFは
角
KCFに
等しく
、
(a)
による。
∠HCF=∠KCF
となっている。
直角
FHCは
角
FKCに
等しい
から、
(b)
による。
∠FHC=∠FKC
となっている。
[三角形]FHC、FKCは
2
角
が2
角
に
等しく
1
辺
が1
辺
に
等しい
、
すなわち
等しい
角
の1つに対する
辺
FCを
共有する
2つの
三角形
である。
(∠HCF,∠FHC)=(∠KCF,∠FKC)、
FC=FC
となっている。
それゆえ
残りの
辺
も
残りの
辺
に
等しい
であろう。
命題1ー26
(2角挟辺相等)
による。
ゆえに
垂線
FHは
垂線
FKに
等しい
。
FH=FK
となっている。
同様にして
FL、FM、FGのおのおのが
FH、FKの双方に
等しい
ことも証明されうる。
したがって
5つの
線分
FG、FH、FK、FL、FMは
互いに
等しい
。
公理1ー1の補足
(等しいものに等しい)
による。
FG=FH=FK=FL=FM
となっている。
それゆえ
Fを
中心
とし、
FG、FH、FK、FL、FMの
1つを
半径
として
円
が描かれれば、
【・・・(c)】
残りの
点
をも通り、
公準1ー3
(作図.円)
による。
「の1つ」については、
コメント(命題4ー4)
を参照のこと。
G、H、K、L、M;上.円周(F,FG)
となっている。
そして
点
G、H、K、L、Mにおける
角
が
直角
であるから、
(b)
による。
FG⊥AB、
FH⊥BC、
FK⊥CD、
FL⊥DE、
FM⊥EA
となっている。
線分
AB、BC、CD、DE、EAに
接する
であろう。
なぜなら
もし
「なぜならもし」については、
コメント(命題1ー4)
を参照のこと。
背理法の仮定を述べようとしている。
それらに
接し
ないで、
それらと
交わる
ならば、
背理法の仮定である。
定義3ー2
(接する)
による。
交わるとは切ることである。
定義3ー2の補足2
(切る)
を参照のこと。
円
の直径に
その端から
直角
にひかれた
直線
が
円
の内部におちる
ことになるであろう。
定義1ー8の補足
(交わる(直線))
による。
これが不合理であることは
先に証明された。
命題3ー16
(直径に直角な直線)
による。
それゆえ
Fを
中心
とし、
線分
FG、FH、FK、FL、FMの
1つを
半径
として
円
が描かれれば、
線分
AB、BC、CD、DE、EAと
交わら
ないであろう。
背理法による。
ゆえに
それらに
接する
であろう。
定義3ー2
(接する)
による。
AB;(接)円(F,FG)、
BC;(接)円(F,FG)、
CD;(接)円(F,FG)、
DE;(接)円(F,FG)、
EA;(接)円(F,FG)、
となり、
円(F,FG);(内接)五角形ABCDE
となっている。
GHKLMのように描かれたとせよ。
(c)
では、
実際に描いているのではなく、
描いたとしたら
という立場で表現している。
そのため、
ここで実際に描くことを
「されたとせよ」と
指示している。
コメント2(命題4ー4)
を参照のこと
よって
与えられた
等辺
等角
な
五角形
に
円
が
内接
された。
これが作図すべきものであった。
命題4ー13
は、
正五角形ABCDE
に対して、
交点F(二等分線(∠BCD),二等分線(∠CDE))、
垂線FG(F,AB)
をとれば、
円(F,FG);(内接)正五角形ABCDE
のことである。
命題4ー13
は作図用命題である。
前提
作図
推論
定義
1-8補
,
1-19補3
,
3-2
,
3-2補2
,
補(理1-5)
,
補2(理1-6)
公準
1-1
,
1-3
,
1-5
公理
1-1補
,
1-4補3
,
1-8補4
命題
1-9
,
1-12
1-4
,
1-26
,
3-16
その他
コ(題4-4)
コ(題1-4)fi
,
コ2(題4-4)
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