ユークリッド原論をどう読むか(1)
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ユークリッド原論
第1巻
命題1ー6(等しい底角なら二等辺三角形)
もし
三角形の2角が互いに等しけれ
ば、
等しい角に対する辺も互いに等しい
であろう。
ABCを
角ABCが角ACBに等しい
とせよ。
-
線分(B,C)、
点A'(外.線分BC;;∠A'BC<∠R)、
点A"(同側(BC,A')
;;∠A"CB=∠A'BC)、
交点A(BA',CA")
をとる。
ただし、
∠A'BCに等しく
∠A"CBをとる
のは、
仮想的である。
実際に可能となる
のは、
命題1ー23(作図・直線上に指定された角)
まで待たねばならない。
-
△ABC;(∠ABC=∠ACB)
となっている。
辺ABも辺ACに等しい
と主張する。
もし
ABが
ACに等しくない
ならば、
そのうち一方は大きい。
ABが大きい
とし、
大きい方ABから
小さい方ACに等しいDBが
切り取られ[点Dが取られ]、
-
命題1ー3(作図・等しい線分を切り取る)
による。
-
AB>AC
とし、
点D(AB;;DB=AC)
となっている。
DCが結ばれた
とせよ。
【・・・(a)】
-
公準1ー1(作図.直線)
による。
-
線分(D,C)
をとっている。
そうすれば
DBはACに等しく、
BCが共通である
から、
2辺DB、BCは
2辺AC、CBにそれぞれ等しく、
角DBCは角ACBに等しい。
-
前節、
命題の仮定
による。
-
(DB,BC)=(AC,CB)、
∠DBC=∠ACB
となっている。
したがって
底辺DCは底辺ABに等しく、
三角形DBCは三角形ACBに等しく、
-
前節、
命題1ー4(2辺挟角相等)
による。
-
合同という概念が
原論の世界では未成立である
ことを示している。
-
DC=AB、
△DBC≡△ACB
となっている。
小さいものが
大きいものに等しくなる
であろう。
-
DはAB上にある
から、
三角形ACBは
DBCより大きい
という意味である。
-
△ACB>△DBC
かつ、
△ACB≡△DBC
となっている。
これは不合理である。
-
角DCBが角ABCと等しく、
角ABCが角ACBと等しかった
から、
角DCBが角ACBと等しく
なる。
角DCBは角ACBより
明らかに小さい
ので
不合理である
と推論することもできる。
それゆえ
ABはACに不等ではない。
ゆえに
等しい。
よって
もし
三角形の2角が互いに等しけれ
ば、
等しい角に対する辺も互いに等しい
であろう。
これが証明すべきことであった。
-
命題1ー5(2等辺三角形の底角)
の逆である。
-
命題の結論それ自体を否定して、
背理法で証明しているのは、
これが最初である。
背理法の活用は
命題1ー4(2辺挟角相等)の論証過程で
すでに登場している。
-
命題1-6は、
△ABC
において、
∠ABC=∠ACB
ならば、
AB=AC
のことである。
-
命題1-6は推論用命題である。
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