ユークリッド原論をどう読むか(12)
頁末
前
次
目次
ユークリッド原論
第8巻
命題8ー21
(比例中項と相似な立体数)
(構成.相似な立体数の辺)
もし
2つの
数
の間に
2つの
比例中項
数
が入る
ならば、
それらは
相似
な
立体数
である。
数は、
定義7ー2
による。
比例中項は、
定義の補足3(命題6ー8)
による。
相似は、
定義7ー22
による。
立体数は、
定義7ー18
による。
2
数
A、Bの間に
2つの
比例中項
数
C、Dが入る
とせよ。
「数(について)・・・とせよ」は、
コメント4(命題7ー1)
参照のこと。
A:C=C:D=D:B
となっている。
A、 Bは
相似
な
立体数
である
と主張する。
A、 C、 D と
同じ比
をもつ
数
のうちで
最小
である
三つの
数
E、F、Gがとられた
とせよ。
[......(a)]
命題7ー33
(構成.任意個の比例で最小数) による。
A:C:D=E:F:G
かつ
E、F、Gは最小
となっている。
そうすれば
それらの
外項
E、Gは
互いに素
である。
[......(1)]
前節、
命題8ー3
(最小順次比例数の外項は互に素)
による。
そして
E、Gの間には1つの
比例中項
数
Fが
入っている
命題の設定
、
(a)
による。
E:F=F:G
となっている。
から、
E、Gは
相似
な
平面数
である。
前節、
命題8ー20
(比例中項と相似平面数)
による。
そこで
H、KをEの、
L、MをGの
辺
とせよ。
[......(b)]
前節、
命題8ー20の補足
(構成.相似平面数の辺)
により、
H×K=E、L×M=G
とできる。
そうすれば
この前の定理から、
E、F、GがH
対
L、K
対
Mの
比
をなして
順次に比例
する
ことは明らかである。
[......(2)]
命題8ー20
(比例中項と相似平面数)
のことである。
E:F=F:G=H:L=K:M
となっている。
そして
E、F、Gは
A、C、Dと
同じ比
をもつ
数
のうちで
最小
であり、
(a)
による。
E、F、Gは
A、C、Dと同じ
個数
である
から、
等間隔比
によりEがGに
対するように
、
AがDに
対する
。
前節、
命題7ー14
(数の等間隔比)
による。
E:G=A:D
となっている。
ところが
E、Gは[
互いに]素
であり、
(1)
による。
[
互いに]素
である
数
は
最小
であり、
命題7ー21
(互いに素な数は同じ比の最小)
による。
最小
である
数
は
それらと
同じ比
をもつ
数
を
割り切り
、
大きい
数
が
大きい
数
を、
小さい
数
が
小さい
数
を、
すなわち
前項
前項
後項
が
後項
を
割っ
た
商
は
等しい
。
命題7ー20
(同じ比なら最小のが割り切る)
による。
ゆえに
EがAを、
GがDを
割っ
た
商
は
等しい
。
A/E=D/G
となっている。
そこで
EがAを
割っ
た
商
に
等しい
個数
の
単位
が
Nのなかにある
とせよ。
A/E=N
となっている。
そうすれば
NはEに
かけ
てAをつくった。
[......(3)]
前節、
定義7ー8の補足
(商)
による。
N×E=A
となっている。
ところが
EはH、Kの
積
である。
(b)
による。
H×K=E
となっている。
それゆえ
NはH、Kの
積
に
かけ
てAをつくった。
前節、前々節、
公理の補足5(定義7ー16)
(等を等にかけると等)
による。
N×(H×K)=A
となっている。
ゆえに
Aは
立体数
であり、
H、K、Nはその
辺
である。
[......(4)]
前節、
定義7ー18
(立体数)
による。
また
E、F、Gは
C、D、Bと
同じ比
をもつ
数
のうちで
最小
である
命題の設定
、
(a)
による。
A:C=C:D=D:B
=E:F=F:G(最小)
となっている。
から、
EがCを、
GがBを
割っ
た
商
は
等しい
。
前節、
命題7ー14
(数の等間隔比)
により、
E:G=C:B
となっており、
(1)により、
E、Gは互いに素である
から、
命題7ー21
(互いに素な数は同じ比の最小)
により
E、Gが同じ比をもつ2数のなかで最小であり、
命題7ー20
(同じ比なら最小のが割り切る)
により、
C/E=B/G
となっている。
そこで
EがCを
割っ
た
商
に
等しい
個数
の
単位
がOのなかにある
とせよ。
[......(c)]
C/E=O
すなわち
O×E=C
となっている。
そうすれば
GがBを
割っ
た
商
は
Oのなかにある
単位
の
個数
である。
前節、前々節により
B/G=Oになっている。
それゆえ
OはGに
かけ
てBをつくった。
前節、
定義7ー8の補足
(商)
による。
O×G=B
となっている。
ところが
GはL、Mの
積
である。
(b)
による。
ゆえに
OはL、Mの
積
に
かけ
てBをつくった。
前節、前々節、
公理の補足5(定義7ー16)
(等を等にかけると等)
による。
O×(L×M)=B
となっている。
したがって
Bは
立体数
であり、
L、M、Oはその
辺
である。
前節、
定義7ー18
(立体数)
による。
よって
A、Bは
立体数
である。
[......(5)]
(4)
,前節による。
相似
でもあると主張する。
N、Oは
Eに
かけ
てA、Cをつくった
(3)
、
(c)
による。
N×E=A、O×E=C
となっている。
から、
NがOに
対するように
、
AがCに、
前節、
命題7ー18
(各項を同数にかけても比は同じ)
による。
すなわち
EがFに
対する
。
(a)
による。
N:O=A:C=E:F
となっている。
ところが
EがFに
対するように
、
HがLに、
KがMに
対する
。
(2)
による。
E:F=H:L=K:M
となっている。
それゆえ
HがLに
対するように
、
KがMに、
NがOに
対する
。
前節、前々節、
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
そして
H、K、NはAの
辺
であり、
O、L、MはBの
辺
である。
(4)
、
(5)
による。
したがって
A、Bは
相似
な
立体数
である。
前節、
定義7−22
(相似な平面数・立体数)
による、
これが証明すべきことであった。
命題8ー21
は、
A、Bが、
2つの比例中項C、Dをもつ
とすれば、
命題7ー33
(構成.任意個の比例で最小数)
により、
A:C:D=E:F:G(最小)
となるE、F、Gがあり、Fが比例中項で
命題8ー3
(最小順次比例数の外項は互に素)
により、
E、Gは互いに素で、
となり、
命題8ー20
(比例中項と相似平面数)
により、
E,Gは相似な平面数
となり、
命題8ー20の補足
(構成.相似平面数の辺)
により、
E=H×K,G=L×M
となり、
F=L×K
で、
E:F=H:L=K:M
となる。
また、
命題7ー20
(同じ比なら最小のが割り切る)
により、
A/E=D/G=N
となり、
A=A/E×E=N×H×K
G=D/G×G=N×L×M
となる。
一方、
C:D:B=E:F:G(最小)
でもあり、
命題7ー20
(同じ比なら最小のが割り切る)
により、
C/E=B/G=O
となり、
B=B/G×G=O×L×M
となる。
N:O=A:C=E:F=H:L=K:M
となるから、
AとBは相似な立方数
のことである。
本命題の証明の過程
から、
以下のことが整理される。
順次に比例するA、C、D、Bについて、
命題7ー33
(構成.任意個の比例で最小数)
により、
A:C:D=E:F:G(最小)
となるように
E、F、Gをとり、
さらに、
E:F=F:G=K:M(最小)
となるように
数K、Mをとる
と、
命題7ー20
(同じ比なら最小のが割り切る)
により、
数H、Lがあって、
E=H×K、G=L×M、
F=H×M=L×K
となり、
H、Gが相似な平面数である
とわかる。
A:C:D=C:D:B
=E:F:G(最小)
であったから、
A:D=C:D=E:G(最小)
となり、
命題7ー20
(同じ比なら最小のが割り切る)
により、
数N、Oがあって、
A=E×N、D=G×N
C=E×O、B=G×O
となる。
したがって
A=H×K×N、B=L×M×O、
N:O=A:C=E:F=H:L=K:M
となる。
すなわち、
順次に比例するA、C、D、Bについて、
A:C:D=E:F:G(最小)、
E:F=H:L(最小)
をとると、
A:D=C:B=E:G(最小)
となり、
E=HK、G=LM、
A=HKN、B=LMO
と、
相似な立体数の辺を構成できる。
また、
比例中項Cは
A:C=H:Lにより
構成できる。
(以下、
命題8ー21の補足
(構成.相似な立体数の辺)という。)
命題8ー21の補足(構成.相似な立体数の辺)
前提
作図
推論
定義
公準
公理
命題
7-33
7-20
その他
命題8ー21
は推論用命題である。
前提
作図
推論
定義
7-8補
,
7-18
,
7-22
公準
公理
補5(義7-16)
命題
7-33
,
8-20補
5-11
,
7-14
,
7-18
,
7-20
,
7-21
,
8-3
,
8-20
その他
コ4(題7-1)
前
次
目次
頁頭