ユークリッド原論をどう読むか(10)
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ユークリッド原論
第6巻
命題6ー13(作図.2線分の比例中項)
(比例中項は2項の間)
与えられた2線分の
比例中項を見いだすこと。
与えられた2線分を
AB、BCとせよ。
-
命題6ー10の補足(区分線分の端点共有化)
により、
端点を共有できる。
-
線分AB、BC
をとっている。
このとき
AB、BCの
比例中項を見いださねばならぬ。
それらが1直線をなすようにおかれ、
-
公準1ー2(作図.直線の延長)
により、
線分ABを
Bの方向に延長する。
命題1ー3の補足(作図.等しい線分となる点)
により、
点C’を、
延長した部分に、
BC’がBCと等しくなるようにとり、
C’を改めてCとして、
溯って用いている。
-
C'(延長AB;;BC'=BC)、
をとり、
C'をC
としている。
AC上に半円ADCが描かれ、
-
命題1ー10(作図・線分の2等分)
により、
線分ACの2等分点Eを求め、
公準1ー3(作図.円)
により、
Eを中心、ACを直径とする半円を描く。
-
半円[AC]
をとっている。
点Bから
線分ACに直角にBDがひかれ、
-
命題1ー11(作図・線分からの垂線)
による。
-
D(半円[AC];;BD⊥AC)
をとっている。
AD、DCが結ばれたとせよ。
-
公準1ー1(作図.直線)
による。
-
AD、DC
をとっている。
角ADCは
半円内の角であるから、
直角である。
-
命題3ー31(半円内の角は直角、半円より大小の切片内の角、切片の角)
による。
-
∠ADC=∠R
となっている。
そして
直角三角形ADCにおいて
直角から底辺に
垂線DBが下されたから、
DBは
底辺の2部分AB、BCの比例中項である。
-
命題6ー8(直角三角形の垂線と相似)
による。
-
AB:BD=BD:BC
となっている。
よって
与えられた2線分AB、BCの
比例中項DBが見いだされた。
これが作図すべきものであった。
- 命題6ー13は、
AB、BC
に対して、
C'(延長AB;;BC'=BC)、
D[半円[AC'];;BD⊥AC']
をとれば、
AB:BD=BD:BC
のことである。
-
作図による比例中項の構成過程により、
比例中項BDは直径AB+BCの半分より小さい。
したがって、
AB、BCの大きい方より小さく、
定義5ー5(同じ比)
により、
小さい方より大きい。
よって、
比例中項は、
それを構成する2項が異なれば、
一方より大きく、一方より小さい
(以下、命題6ー13の補足(比例中項は2項の間)という。)
-
命題6ー13の補足(比例中項は2項の間)
- 命題6ー13は作図用命題である。
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