ユークリッド原論をどう読むか(6)
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ユークリッド原論
第3巻
命題3ー18(接点への半径は接線に垂直)
(円と接線の共有点は接点のみ)
(円と直線の共有点は2以下)
もし
直線が
円に接し、
中心から接点に
線分が
結ばれるならば、
結ばれた線分は
接線に垂直であろう。
円ABCに
直線DEが
点Cにおいて
接するとし、
円ABCの中心Fが
とられ、
- 命題3ー1(作図.円の中心)
による。
-
円ABC
に対して、
接点C(DE,円ABC)、
中心F.円ABC
をとっている。
FからCに
FCが結ばれたとせよ。
- 公準1ー1(作図.直線)
による。
-
線分FC
をとっている。
FCは
DEに
垂直である
と主張する。

もしそうでないならば、
FからDEに
垂線FGが
ひかれたとせよ。
【・・・(a)】
[CD上になる場合]
そうすれば
角FGCは
直角であるから、
角FCGは
鋭角である。
【・・・(1)】
- 命題1ー16(外角と内対角)
により、
外角FGDは
内対角FCGより大きく、
定義1ー10(直角)
により、
外角FGDは
直角であるから、
公理1ー8の補足2(等より大・小、大・小に等)
により、
FCGは
直角より小さいことによる。
-
∠FCG<∠R
となっている。
そして、
大きい角には
大きい辺が
対する。
それゆえ
FCは
FGより大きい。
【・・・(2)】
ところが
FCは
FBに等しい。
【・・・(3)】
- Gは
接線上のCと異なる
点である。
定義3ー2(接する)
により、
Gは
円の外部の点であり、
公準1−1(作図.直線)
により、
内部の点である
中心Fと
結んだ線分は
命題3−2の補足(円内通過直線は円周と2交点)
により、
円周と1点で交わる。
この点をBとして、
遡って用いている。
定義1ー15(円)
により、
FCは
FBに等しい。
-
FC=FB
となっている。
ゆえに
FBは
FGより大きい。
すなわち
小さいものが
大きいものより大きい。
- BはFG上の点であるから、
公理1ー8の補足(小さい)
により、
FBはFGより小さい。
-
FB<FG
となっている。
これは
不可能である。
したがって
FGは
DGに垂直でない。
- 背理法の仮定を否定している。
-
FG¬⊥DG
となっている。
[CE上になる場合]
同様にして
[証明できる。
[
2つの場合の結果により、
]
FC以外のいかなる線分も
垂直でない
ことを証明しうる。
ゆえに
FCは
DEに垂直である。
- 背理法による結論である。
-
命題1ー12(作図・線分への垂線)
により、
直線ED上に、
Fからの垂線の交点がある。
C以外の点は交点でない。
よって、
Cが交点である。
-
FC⊥DE
となっている。
よってもし
直線が
円に接し、
中心から接点に
線分が結ばれるならば、
結ばれた線分は
接線に垂直であろう。
これが証明すべきことであった。
- 本質的に
命題3ー6の補足2(中心は接線の接点での垂線上)
で
証明したところである。
-
接線と円の共有点は接点のみである。
(以下、命題3ー18の補足(円と接線の共有点は接点のみ)という。)
円の中心をA、
接点をB、
接線上にあってB以外の
任意のところにある点をCとし、
-
中心A.円、
接点B(接線,円)
点C[接線;;C;外.B]
をとっている。
公準1ー1(作図.直線)
により
AとB、AとCを結んで
三角形ABCを作る。
命題3ー18(接点への半径は接線に垂直)
により
角ABCは直角に等しい。
命題1ー16(外角と内対角)
により
角BCAは直角より小さい。
公理1ー8の補足2(等より大・小、大・小に等)
により
角ABCは角BCAより大きい。
命題1ー19(三角形の大きい辺と大きい角2)
により
CAはABより大きい。
定義1ー15(円)
により
Cは円周上にない。
よって
円と接線の共有点は接点のみである。
- 命題3ー18は、
円ABC
に対して、
接点C(DE,円ABC)、
中心F.円ABC
をとれば、
FC⊥DE
のことである。
-
命題3−2の補足(円内通過直線は円周と2交点)
命題3ー18の補足(円と接線の共有点は接点のみ)
により、
円とその外の点を通る直線との共有点は、
2つ以下で、
1つならば
円と直線は接する。
2つならば
円と直線は交わる。
(以下、命題3ー18の補足2(円と直線の共有点は2以下)という。)
-
命題3ー18の補足(円と接線の共有点は接点のみ)
-
命題3ー18の補足2(円と直線の共有点は2以下)
- 命題3ー18は推論用命題である。
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