ユークリッド原論をどう読むか(2)
頁末
前
次
目次
ユークリッド原論
第1巻
命題1ー19(三角形の大きい辺と大きい角2)
すべての三角形において
大きい角には
大きい辺が対する。
ABCを
角ABCが角BCAより大きい
三角形
とせよ。
辺ACも
辺ABより大きい
と主張する。
もし
大きくない
ならば、
ACは
ABに等しいか小さいかである。
[等しい場合]
ところで
ACはABに等しくない。
なぜなら[もし]
《そう》[等しい
と]すれば
-
英文では、'for then'となっているが、
推論の流れからは、'for if equals AB'と考えられる。
-
「なぜならもし」については、
コメント(命題1ー4)を参照のこと。
- 一段階下の背理法の仮定である。
角ABCも
角ACBに等しくなる
であろう。
-
英文では、'for then'となっているが、
推論の流れからは、'for if less than AB'と考えられる。
-
命題1ー5(2等辺三角形の底角)
による。
-
∠ABC=∠ACB
となっている。
ところが
そうではない。
したがって
ACはABに等しくない。
【・・・(1)】
[小さい場合]
また
ACはABより小さくもない。
なぜなら
そうすれば
角ABCも
角ACBより小さくなる
であろう。
-
命題1ー18(三角形の大きい辺と大きい角1)
による。
-
∠ABC<∠ACB
となっている。
ところが
そうではない。
したがって
ACはABより小さくはない。
また
等しくない
ことも先に証明された。
ゆえに
[3つの場合のうち
2つの場合が不可能
だから
]
ACはABより大きい。
よって
すべての三角形において
大きい角には大きい辺が対する。
これが証明すべきことであった。
- 命題1-19は、
命題1-19は、
△ABC
において
∠ABC>∠BCA
ならば、
AC>AB
のことである。
-
AB上にない点Cから
垂線CDと垂線でないCEがひかれたとすると、
命題1ー17(三角形の2角の和)
により、
角CDE>角CED
となり、
本命題
により、
CE>CD
となる。
したがって、
直線上の点への直線外の点からの長さは、
垂線が最小である。
(以下、命題1ー19の補足(垂線が最小) という。)
-
- 命題1-19は推論用命題である。
前
次
目次
頁頭