ユークリッド原論をどう読むか(6)
頁末
前
次
目次
ユークリッド原論
第3巻
□定義
定義3ー1(等しい2円)
等しい2円とは
その直径が等しいか
または
その半径が等しい
ものである。
- 直径は
定義1ー17により
半径の2倍である。
したがって
半径が等しければ
公理1ー5により
直径も等しい。
直径が等しければ
公理1ー6により
半径も等しい。
定義3ー2(接する)
円と会し
延長されて円を切らない直線は
円に接する
といわれる。
-
会すとは
相手の一部を
共有点としてもつこと
である。
(以下、定義3ー2の補足(会す)
という)
-
直線が円を切るとは、
直線について
両方の側に円の部分が存在する
状態になっていること
である。
(以下、定義3ー2の補足2(切る)
という)
すなわち、
直線が円周と2点で交わり、
円を
2つの部分に分ける
ということである。
-
接する場合に
接する線を接線という。
共有する点を接点という。
(以下、定義3ー2の補足3(接線・接点)という)
定義3ー3(相接する)
相会し相交わらない円は
相接するといわれる。
- 相とは互いにということである。
- 交わるとは
定義1ー8の補足にあるとおり、
境界について両側に
(つまり内側と外側に)
相手の部分をもつことである。
定義3ー4(中心から等距離)
円において弦は、
中心からそれに下す垂線が等しいとき、
中心から等距離にあるといわれる。
-
弦とは
円を切る直線で
円の内部にあるもの
をいう。(以下、定義3ー4の補足(弦)という。)
- 円周上の2点を結ぶ線分が
円の内部にあること
については
命題3ー2で証明される。
- 命題1ー12により
中心から
弦に垂線を下すことができる。
- 直線上の点と
中心とを結ぶ線分は
公準1ー1により存在するが、
命題1ー47により
中心から下ろした垂線
より大きい。
-
距離(点と直線)とは
点から直線におろした
垂線の長さ
をいう。(以下、定義3ー4の補足2(距離(点と直線))という。)
定義3ー5(大きい距離・遠い)
大きい垂線が下される弦は
大きい距離にある
といわれる。
- 中心から遠いということである。
-
小さい垂線が下される弦は
小さい距離にある
といわれる。(以下、定義3ー5の補足(小さい距離・近い)という。)
- 中心から近いということである。
定義3ー6(切片)
円の切片とは
弦と弧とにかこまれた
図形である。
- 半円も切片である。
(以下、定義3ー6の補足(半円も切片)という。)
定義3ー7(切片の角)
切片の角とは
弦と弧とに
はさまれた角である。
- 原論で初めて登場した、
直線角でない角である。
- 半円の角は、半円という切片の角である。
(以下、定義3ー7の補足(半円の角)
という。)
定義3ー8(切片内の角)
切片内の角とは
切片の弧の上に1点がとられ、
それから
切片の底辺をなす弦の両端に
線分が結ばれるとき、
結ばれた2線分に
はさまれた角である。
定義3ー9(弧の上に立つ)
この切片内の角をはさむ2直線が
弧を切り取るとき
角は弧の上に立つ
といわれる。
- 円の内部を通る直線は
命題の補足2(定義1ー14)により
外部にでる。
円周と交わる。
- 2直線がはさむ角と
向かい合う部分が
切り取られた弧であり、
弧に向かい合う角が
その弧の上に立つ。
定義3ー10(扇形)
円の扇形とは
円の中心において
角がつくられるとき、
角をはさむ2線分と
それによって切り取られる弧と
にかこまれた図形である。
定義3ー11(相似な切片)
2円の相似な切片とは
等しい角を含む
≪か≫[、すなわち]、
切片内の角が
互いに等しい
ものである。
前
次
目次
頁頭