ユークリッド原論をどう読むか(6)
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ユークリッド原論
第3巻
命題3ー19
(中心は接線の接点からの垂線上)
もし
直線
が
円
に
接し
、
接点
から
接線
に
直角
に
直線
が
ひかれるならば、
円
の
中心
は
ひかれた
直線
上にあるであろう。
直線は、
定義1−10
による。
円は、
定義1−15
による。
接しは、
定義3−2
による。
接点は、
定義3ー2の補足3
による。
接線は、
定義3ー2の補足3
による。
直角は、
定義1ー10
による。
中心は、
定義1ー16
による。
直線
DEが
点
Cにおいて
円
ABCに
接する
とし、
Cから
DEに
直角
に
CAが
ひかれたとせよ。
命題1ー11
(作図・線分からの垂線)
による。
Cをとおる直線は、
命題3ー16
(直径に直角な直線)
により、
円の内部をとおる。
命題3−2の補足
(円内通過直線は円周と2交点)
により、
この直線は、
C以外に
円周ともう1点交点をもつ。
この点をAとする。
このAを溯って用いている。
円ABC
に対して、
接点C(DE,円ABC)、
交点A(垂線(C,DE),円ABC)
をとっている。
円
の
中心
は
AC上にある
と主張する。
そうでないとすれば、
背理法の仮定を
述べようとしている。
もし可能ならば、
「もし可能ならば」は、
コメント2(命題1−7)
参照のこと。
Fを
中心
とし、
【・・・(a)】
線分ACは
命題3ー2
(弦は円の内部)
により
円の内部にある。
定義1ー7の補足
(平面)
により
円は
弦ACについて
2つの部分に分けられる。
公準1ー1の補足
(作図.任意の点をとる)
によって
円の内部で
弦AC上でない
ところに
点Fをとる。
中心F.円ABC
をとっている。
[
定義1ー7の補足
(同じ側・反対側(平面))
により、
Fが角ACEの内部にある場合と、
Fが角ACDの内部にある場合
がある。
]
[ Fが角ACEの内部にある場合 ]
CFが
結ばれたとせよ。
公準1ー1
(作図.直線)
による。
線分CF
をとっている。
直線
DEは
円
ABCに
接し
、
命題の設定
による。
DE(接)円ABC
となっている。
中心
から
接点
へ
FCが結ばれたから、
(a)
による。
C;交点(DE,円ABC)
となっている。
FCは
DEに
垂直
である。
命題3ー18
(接点への半径は接線に垂直)
FC⊥DE
となっている。
による。
それゆえ
角
FCEは
直角
である。
【・・・(1)】
定義1ー10の補足2
(垂直)
による。
∠FCE=∠R
となっている。
ところが
角
ACEも
直角
である。
命題の設定
による。
∠ACE=∠R
となっている。
ゆえに
角
FCEは
角
ACEに
等しい
、
(1)
,
公理1ー7
(等しい)
による。
∠FCE=∠ACE
となっている。
すなわち
小さい
ものが
大きい
ものに
等しい
。
Fが
角ACEの内部にある場合であるから
公理1ー8の補足
(小さい)
により、
角FCEは
ACEより小さい。
∠FCE<∠ACE
となっていた。
これは不可能である。
公理1ー8
(大きい)
による。
したがって
Fは
円
ABCの
中心
ではない。
背理法の仮定による矛盾である。
[ Fが角ACDの内部にある場合も ]
同様にして
[証明できる、
2つの場合の結果により、
]
AC上以外の
いかなる
点
も
そうでない
ことを証明《しうる》[できた]。
Fが
角ACDの内部にある場合も
同様であることを述べている。
コメント(命題1ー14)
参照のこと。
よってもし
直線
が
円
に
接し
、
接点
から
接線
に
直角
に
直線
がひかれるならば、
円
の
中心
は
ひかれた
直線
上にあるであろう。
これが証明すべきことであった。
命題3ー6の補足2
(中心は接線の接点での垂線上)
で
証明したものである。
命題3ー19
は、
円ABC
に対して、
接点C(DE,円ABC)、
交点A(垂線(C,DE),円ABC)
をとれば、
中心.円ABC;内.AC
のことである。
命題3ー19
は推論用命題である。
前提
作図
推論
定義
1-7補
,
1-10補2
公準
1-1
,
1-1補
公理
1-7
,
1-8
,
1-8補
命題
1-11
,
3-2補
3-2
,
3-16
,
3-18
その他
背理法,
コ2(題1-7)
,場合分け,
コメント(題1-14)
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