ユークリッド原論をどう読むか(8)
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ユークリッド原論
第4巻
命題4ー8(正方形の内接円)
与えられた正方形に
円を内接させること。
与えられた正方形を
ABCDとせよ。
このとき
正方形ABCDに
円を内接させねばならぬ。
AD、ABの双方が
点E、Fで2等分され、
-
命題1ー10
(作図・線分の2等分)
による。
-
中点E(AD)、
中点F(AB)
をとっている。
Eを通り
AB、CDのどちらかに平行に
EHがひかれ、
【・・・(a)】
Fを通り
AD、BCのどちらかに平行に
FKがひかれたとせよ。
【・・・(b)】
そうすれば
AK、KB、AH、HD、AG、GC、BG、GDの
おのおのは
平行四辺形であり、
【・・・(1)】
- EHは
ABと平行であり、
ABは
FKと交わっているので、
命題1ー30の補足
(交線に平行な線)
により
EHは
FKと交わる。
その交点をGとする。
-
定義1ー22の補足2
(平行四辺形)
による。
-
交点G(EH,FK)
をとれば、
AK、KB、AH、HD、AG、GC、BG、GD;平行四辺形
となっている。
それらの対辺は
明らかに等しい。
そして
ADは
ABに等しく、
-
定義1ー22
(正方形・矩形・菱形・長斜方形・トラペジオン)
による。
-
AD=AB
となっている。
AEは
ADの半分であり、
AFは
ABの半分であるから、
- (a)
による。
-
AE=AD/2、
AF=AB/2
となっている。
AEは
AFに等しい。
【・・・(2)】
-
公理1ー6の補足3
(等しいもののn等分、n等分に等しいもの)
による。
-
AE=AF
となっている。
それゆえ
対辺も等しい。
ゆえに
FGもGEに等しい。
- (1),(2),
公理1ー1の補足
(等しいものに等しい)
による。
AEの対辺FGも
AFの対辺GEに等しい
という意味である。
-
FG=GE
となっている。
同様にして
GH、GKの双方は
FG、GEの双方に等しい
- (a)
によりFBはAFに、
(2)
によりAFはAEに等しく、
(1)
によりそれぞれの対辺も等しくなり、
また同様にして
ED(AE)はAFに等しく、
それぞれの対辺も等しくなる
という意味である。
-
(GH,GK)=(FG,GE)
となっている。
ことも証明しうる。
したがって
GE、GF、GH、GKの4つは互いに等しい。
-
公理1ー1の補足
(等しいものに等しい)
による。
-
GH=GK=FG=GE
となっている。
それゆえ
Gを中心とし、
GE、GF、GH、GKの1つを
半径として
円が描かれれば、
残りの点をも通るであろう。
- 「〜の1つ」については、
コメント(命題4ー4)を参照のこと
-
E、F、H、K;上.円周(G,GE)
となっている。
そして
E、F、H、Kにおける角は
直角であるから、
- 例えば、
Eについては、
(a)
により、
EHがABに平行にひかれたから、
命題1ー29
(平行と錯角、内対角、同側内角)
により
角AとEは等しくなり、
Aが、
定義1ー22
(正方形・矩形・菱形・長斜方形・トラペジオン)
により直角であることによる。
他も、同様である。
-
GE⊥DA、
GF⊥AB、
GH⊥BC、
GK⊥CD
となっている。
AB、BC、CD、DAに接するであろう。
なぜならもし
円がAB、BC、CD、DAと交わるならば、
円の直径に
その端から直角にひかれた直線が
円の内部におちることになるであろう。
これは
不合理であることが証明された。
- FKは直径であり、ABはFKに直角にひかれた直線となり、
命題3ー16
(直径に直角な直線)
による。
ゆえに
Gを中心とし
GE、GF、GH、GKの1つを
半径とする
円が描かれれば、
線分AB、BC、CD、DAと
交わらないであろう。
したがって
それらに接し
正方形ABCDに内接されているであろう。
-
定義4ー5
(内接(円の))
による。
-
AB;(接)円(G,GE)、
BC;(接)円(G,GE)、
CD;(接)円(G,GE)、
DA;(接)円(G,GE)
となっている。
よって、
与えられた正方形に円が内接された。
円(G,GE);(内接)正方形ABCD
となっている。
これが作図すべきものであった。
- 命題4ー8は、
正方形ABCD
において、
中点E(AD)、
中点F(AB)、
交点G(平行線(E,AB),平行線(F,AD))
をとれば、
円(G,GE);(内接)正方形ABCD
のことである。
- 命題4ー8は作図用命題である。
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