ユークリッド原論をどう読むか(8)
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ユークリッド原論
第4巻
命題4ー9(正方形の外接円)
与えられた正方形に
円を外接させること。
与えられた正方形を
ABCDとせよ。
このとき
正方形ABCDに
円を外接させねばならぬ。
AC、BDが結ばれ、
-
公準1ー1
(作図.直線)
による。
-
線分AC、BD
をとっている。
Eにおいて互いに交わるとせよ。
【・・・(a)】
-
命題1ー34の補足3
(平行四辺形の対角線は互いに他を2等分)
により、
BDは
ACと交わる。
その交点をEとする。
-
交点E(AC,BD)
をとっている。
そうすれば
DAは
ABに等しく、
- 命題の設定,
定義1ー22
(正方形・矩形・菱形・長斜方形・トラペジオン)
による。
-
DA=AB
となっている。
ACは共通であるから、
2辺DA、ACは
2辺BA、ACに等しい。
そして
底辺DCは
底辺BCに等しい。
- 命題の設定,
定義1ー22
(正方形・矩形・菱形・長斜方形・トラペジオン)
による。
-
DC=BC
となっている。
それゆえ
角DACは
角BACに等しい。
-
命題1ー8
(3辺相等2)
による。
-
∠DAC=∠BAC
となっている。
ゆえに
角DABは
ACによって2等分された。
同様にして
角ABC、BCD、CDAのおのおのが
線分AC、DBによって2等分された
ことを証明しうる。
【・・・(1)】
-
AC;二等分線(∠ADB)、
AC;二等分線(∠DCB)、
DB;二等分線(∠ABC)、
DB;二等分線(∠CDA)
となっている。
そして
角DABは
ABCに等しく、
- 命題の設定,
定義1ー22
(正方形・矩形・菱形・長斜方形・トラペジオン)
による。
-
∠DAB=∠ABC
となっている。
角EABは
角DABの半分であり、
角EBAは
角ABCの半分であるから、
- (1)による。
-
∠EAB=∠DAB/2、
∠EBA=∠ABC/2
となっている。
角EABも
角EBAに等しい。
-
公理1ー6の補足3
(等しいもののn等分、n等分に等しいもの)
による。
-
∠EAB=∠EBA
となっている。
したがって
辺EAも
EBに等しい。
【・・・(2)】
-
命題1ー6
(等しい底角なら二等辺三角形)
による。
-
EA=EB
となっている。
同様にして
EA、EBの双方が
《EC、》ED[、EC]の双方に等しい
ことも証明しうる。
それゆえ
EA、EB、EC、EDの4つは
互いに等しい。
-
公理1ー1の補足
(等しいものに等しい)
による。
-
命題1ー34の補足3
(平行四辺形の対角線は互いに他を2等分)
によれば、
EAとEC、EBとEDがそれぞれ等しく、
(2)により
EAとEBが等しいことから、
公理1ー1の補足
(等しいものに等しい)
により
4つが等しいと証明できる。
【・・・(3)】
-
EA=EB=EC=ED
となっている。
ゆえに
Eを中心とし、
EA、EB、EC、EDの1つを半径として
円が描かれれば、
【・・・(b)】
残りの点をも通り、
正方形ABCDに外接《され》[し]ているであろう。
-
定義4ー6
(外接(円の))
による。
-
円ABCD(E,EA);(外接)正方形
となっている。
ABCDのように
外接《され》[し]たとせよ。
- (b)では、
実際に描いているのではなく、
描いたとしたら
という立場で表現している。
そのため、
ここで実際に描くことを
指示している。
コメント2(命題4ー4)
を参照のこと
よって
与えられた正方形に円が外接《され》[し]た。
これが作図すべきものであった。
- 命題4ー9は、
正方形ABCD
において、
線分AC、BD、
交点E(AC,BD)
をとれば、
円(E,EA);(外接)正方形ABCD
のことである。
- 命題4ー9は作図用命題である。
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