ユークリッド原論をどう読むか(8)
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ユークリッド原論

第4巻

命題4ー4(作図.三角形の内接円)
「どれか1つ(の1つ)」 「されたとせよ」


与えられた三角形
 内接させること。

与えられた三角形
 ABCとせよ。

このとき
 三角形ABCに
 内接させねばならぬ。

ABC、ACBが
 線分BD、CDによって
 2等分され、
 Dにおいて相会するとし、 【・・・(a)】  Dから
 線分AB、BC、CAに
 垂線DE、DF、DGがひかれたとせよ。 【・・・(b)】 そうすれば
ABDは
 CBDに等しく
直角BEDは
 直角BFDに等しいから、
EBD、FBDは
 2が2等しく
 1が1にひとしい、
 すなわち
 等しいの1つに対する
  BDを共有する
 2つの三角形である。

それゆえ
残りの
 残りの等しいであろう。
ゆえに
DEは
 DFに等しい

同じ理由で
 DGもDFに等しい

それゆえ
 Dを中心とし、
 DE、DF、DGの1つを半径として
 が描かれれば、 【・・・(c)】  残りのをも通り、
 そして
 E、F、Gにおける
 直角であるから、
 線分AB、BC、CAに
 接するであろう。
なぜなら、
 もし交わるならば、
 の直径に
 その端から直角にひかれた直線が
 の内部におちることになるであろう。
これは不合理であることが証明された。
ゆえに
 Dを中心とし、
 DE、DF、DGの1つを
  半径として描かれた
 線分AB、BC、CAと
 交わらないであろう。
したがって
 それらに接し
 三角形ABCに内接されたであろう。
 それがFGEのように内接されたとせよ。
  よって
 与えられた三角形ABCに
 EFGが内接された。

これが作図すべきものであった。
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