ユークリッド原論をどう読むか(9)
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ユークリッド原論
第5巻
命題5ー25(比例の最大最小項の和は大きい)
もし
4つの量が比例するならば、
最大と最小の和は
残りの2つの和より大きい 。
4つの量 AB、CD、E、Fが比例する、
すなわち
ABがCDに対するように、
EがFに対するとし、
- 同じ比をもつ線分の作図(仮想的)は、
コメント2(命題5ー4)参照のこと。
-
量AB、CD、F
に対して、
E[;;AB:CD=E:F]
をとっている。
ABがそれらの最大、
Fが最小とせよ。
-
AB>CD,E
となっている。
このとき、
定義5ー5(同じ比)
により、
E>F、
命題5ー14(同じ比の前(後)項の大等小)
により
CD>F
となり、
AB>CD,E>F
となる。
すなわち、
Fは最小
となっている。
AB、Fの和は
CD、Eの和より大きい
と主張する。
AGをEに、
CHをFに等しくせよ。【・・・(a)】
- 推論の設定である。
- 命題1ー3の補足(作図.等しい線分となる点)
による。
-
G(AB;;AG=E)、
H(CD;;CH=F)
をとっている。
ABがCDに対するように、
EがFに対し、
- 命題の設定
による。
-
AB:CD=E:F
となっている。
EはAGに、
FはCHに等しいから、
- (a)
による。
-
E=AG、
F=CH
となっている。
ABがCDに対するように、
AGがCHに対する。
そして
AB全体がCD全体に対するように、
引き去られた部分AGが
引き去られた部分CHに対するから、
- 命題5ー19
(引き去りが比例なら残りも比例)
の表現に合せている。
-
AB:CD=AG:CH
となっている。
残りのGBも残りのHDに対し、
AB全体がCD全体に対するようであろう。【・・・(1)】
- 命題5ー19
(引き去りが比例なら残りも比例)
による。
-
GB:HD=AB:CD
となっている。
ところが
ABはCDより大きい。
それゆえ
GBもHDより大きい。【・・・(2)】
そして
AGはEに、
CHはFに等しいから、
- (a)
による。
-
AG=E、
CH=F
となっている。
AG、Fの和は
CH、Eの和に等しい。【・・・(3)】
- 公理1ー2
(等しいものに等しいものを加える)
による。
-
AG+F=CH+E
となっている。
そしてもし
GB、HDが等しくなく、
GBが大きく、
- (2)
による。
もしと表現されているが、
ここではGBが大きい。
-
GB>HD
となっている。
GBにAG、Fが加えられ、
HDにCH、Eが加えられるならば、
AB、Fの和は
CD、Eの和より大きい。
- (3)
,公理1ー4
(不等なものに等しいものを加える)
による。
-
AB+F
=GB+AG+F
>HD+CH+E
=CD+E
となっている。
よってもし
4つの量が比例するならば、
最大と最小の和は
残りの2つの和より大きい。
これが証明すべきことであった。
- 命題5ー25は、
AB:CD=E:F、
ABが最大
ならば、
AB+F>CD+Eのことである。
- 命題5ー25は推論用命題である。
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