ユークリッド原論をどう読むか(8)
頁末
前
次
目次
ユークリッド原論
第4巻
命題4ー14
(作図.正五角形に円を外接)
与えられた
等辺
等角
な
五角形
に
円
を
外接
させること。
等辺は、
定義1ー20の補足
による。
等角は、
定義の補足(命題4ー11)
による。
五角形は、
定義の補足2(命題4ー11)
による。
円は、
定義1ー15
による。
外接は、
定義4ー6
による。
与えられた
等辺
等角
な
五角形
を
ABCDEとせよ。
正五角形ABCD
をとっている。
このとき
五角形
ABCDEに
円
を
外接
させねばならぬ。
角
BCD、CDEの双方が
線分
CF、DFの双方によって2
等分
され、
2
線分
が相
会
する
点
Fから、
B、A、Eに
線分
FB、FA、FEが結ばれたとせよ。
【・・・(a)】
命題1ー9
(作図・角の2等分)
により、
角BCDがCFにより、
角CDEがDF’により
2等分される。
定義1ー19の補足3
(凸多角形)
により、
角BCD、CDEは
2直角より小さい。
公理1ー8の補足4
(大きい・小さいもののn倍・n等分)
により、
角FCD、F’DCは
直角より小さい。
よって、
公理1ー4の補足3
(大きい(小さい)ものどうしを加える)
により、
角FCD、F’DCの和は
2直角より小さい。
したがって
公準1ー5
(平行線公準)
により、
CFとCF’は
1点で交わる。
なお、
この交点は、
定義1ー19の補足3
(凸多角形)
により、
辺CDについて、
他の辺と同じ側にある。
その交点を改めてFとし、
溯って用いている。
交点F(二等分線(∠BCD),二等分線(∠CDE))、
線分FB、FA、FE
をとっている。
そうすれば
この前と同様にして、
角
CBA、BAE、AEDのおのおのも
線分
FB、FA、FEのおのおのによって
2
等分
されたことが証明されうる。
「この前と同様にして」は、
原論で初めて登場する表現である。
具体的には
命題4ー13
(円に正五角形を内接)
の
FB、FA、FEが
角を2等分する
ことについての論証を指す。
そこにおいて、
論拠となる命題等は、
以下の通りである。
命題1ー4
(2辺挟角相等)、
定義の補足(公理1ー5)
(同じもののn倍)、
定義の補足2(公理1ー6)
(n等分・n分の1)
原論において、
命題の図が
頂点の記号も含めて
それまでの命題と同一となるのは、
これが初めてである。
FB;二等分線(∠CBA)、
FA;二等分線(∠BAE)、
FE;二等分線(∠AED)
となっている。
そして
角
BCDは
角
CDEに
等しく
、
命題の設定
による。
∠BCD=∠CDE
となっている。
角
FCDも
角
FDCに
等しい
。
(a)
による。
∠FCD=∠FDC
となっている。
それゆえ
辺
FCも
辺
FDに
等しい
。
命題1ー6
(等しい底角なら二等辺三角形)
による。
FC=FD
となっている。
同様にして
FB、FA、FEのおのおのも
FC、FDの双方に
等しい
ことが証明されうる。
ゆえに
5つの
線分
FA、FB、FC、FD、FEは
互いに
等しい
。
公理1ー1の補足
(等しいものに等しい)
による。
FA=FB=FC=FD=FE
となっている。
したがって
Fを
中心
とし、
FA、FB、FC、FD、FEの1つを
半径
として
円
が描かれれば、
「の1つ」については、
コメント(命題4ー4)
を参照のこと。
公準1ー3
(作図.円)
による。
残りの
点
をも通り、
定義1ー15
(円)
による。
A、B、C、D、E;点[円周(F,FA)]
となっている。
そして
外接
されているであろう。
定義4ー6
(外接(円の))
による。
円(F,FA);(外接)正方形ABCDE
となっている。
外接
されたとし、
それをABCDEとせよ。
「されたとし」については、
コメント2(命題4ー4)
を参照のこと。
よって
与えられた
等辺
等角
な
五角形
に
円
が
外接
された。
これが作図すべきものであった。
命題4ー14
は、
正五角形ABCD
に対して、
交点F(二等分線(∠BCD),二等分線(∠CDE))、
をとれば、
円(F,FA);(外接)正方形ABCDE
のことである。
命題4ー14
は作図用命題である。
前提
作図
推論
定義
1-15
,
1-19補3
,
4-6
,
補(理1-5)
,
補2(理1-6)
公準
1-3
,
1-5
公理
1-1補
,
1-4補3
,
1-8補4
命題
1-9
1-4
,
1-6
その他
コ(題4-4)
コ2(題4-4)
前
次
目次
頁頭