ユークリッド原論をどう読むか(6)
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ユークリッド原論
第3巻
命題3ー10(2円の交点は2点まで)
(3点共有で円が一致)
円は
円と
二つより多くの点で
交わらない。
- この命題においては、
他の命題のような
図による題意の説明がない。
原論において
初めてのスタイルである。
- 円は、定義1ー15
による。
- 点は、定義1ー1
による。
- 交わるは、定義1−8の補足
による。
もし可能ならば、
円ABCが
円DEFと
二つより多くの
点B、G、[F、]Hで交わるとし、
- 以上が帰納法の仮定である。
3点で済ませられないかが
課題として残る。
しかし、
以下の証明では、
交点は
3点の存在しか前提としていないので、
論証は成立している。
BH、BGが結ばれ、
点K、Lで
[それぞれ]2等分されたとせよ。
【・・・(a)】
そして
K、Lから
I,J
[それぞれ]BH、BGに直角に
KC、LMがひかれ、
点A、Eまで延長されたとせよ。
- 命題1ー11
による。
- 命題3ー2の補足
により、
Kを通る直線は、
それぞれの円周と2点で交わる。
一方の円周との交点をA、Cとし、
他方の円周との交点の一つをDとする。
Lを通る直線も
それぞれの円周と2点で交わる。
前者の円周との交点をL、Nとし、
後者の円周との交点をM、Eとする。
これらの点のうち、
A、C、E、Dについて溯って用いている。
そうすれば、
円ABCにおいて
弦ACが
弦BHを直角に2等分するから、
円ABCの中心はAC上にある。
【・・・(1)】
また
同じ円ABCにおいて
弦LNが
弦BGを直角に2等分するから、
円ABCの中心は
LN上にある。
ところが
AC上にあることも
先に[(1)で]
証明され、
しかも
弦AC、LNは
O以外のいかなる点でも交わらない。
それゆえ
点Oは
円ABCの中心である。
-
命題3ー1
により
中心はただ一つ存在し、
それがAC上で、
かつ
LN上であるから、
O以外でありえない。
つまり、中心はOである。
同様にして
Oは
また
円DEFの中心である
ことも証明しうる。
ゆえに
互いに交わる二つの円ABC、DEFが
同じ中心Oをもつ。
これは不可能である。
- 命題3ー5
により、
交わる2円は
異なる中心をもつから。
- 背理法により
証明が成立したことになる。
よって
円は
円と二つより多くの点で交わらない。
これが証明すべきことであった。
- 2つの円が3点を共有すれば一致する。
(以下、命題3ー10の補足(3点共有で円が一致)という。)
背理法の仮定として、
もし、
異なる2円になる
とすれば、
命題3−5の補足
により、
共有点は2点となり、
矛盾する
ので、
背理法により結論を得る。
-
命題3ー10の補足(3点共有で円が一致)
前提 | 作図 | 推論 |
定義 |
|
|
公準 |
|
|
公理 |
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命題 |
|
3-5補
|
その他 |
|
背理法
|
- 命題3-10は推論用命題である。
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