ユークリッド原論をどう読むか(13)
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ユークリッド原論
第9巻
命題9ー30(奇数が偶数整除なら半分も整除)
もし
奇数が偶数を割り切る
ならば、
その半分をも割り切る
であろう。
奇数Aが偶数Bを割り切る
とせよ。
-
「数(について)・・・とせよ」は、
コメント4(命題7ー1)
参照のこと。
-
A=奇数、B=偶数、
A|B
となっている。
その半分をも割り切る
であろうと主張する。
AがBを割り切る
から、
その商をCとせよ。
[......(a)]
Cは奇数でない
と主張する。
もし可能ならば、
奇数である
とせよ。
そうすれば
AがBを割った商はCである
から、
AはCにかけてBをつくった。
それゆえ
Bは奇数個の奇数からなる。
ゆえに
Bは奇数である。
これは不合理である。
なぜなら
偶数である
と仮定されているから。
したがって
Cは奇数ではない。
ゆえに
Cは偶数である。
よって
AがBを割った商は偶数である。
このゆえに
その半分をも割り切る
であろう。
-
この証明は、以下のとおり。
前々節により
Cは偶数である
から
C/2=D
とすると、
D+D=C
となる。
A×D=E
とすると、
A|E ・・・(ア)
である。
ところが、
A×D+A×D
は、
命題5ー1(同数倍の和1)
により、
A×(D+D)
=A×C
=B
となるので、
EはBの半分である。
これと、(ア)により
AはBの半分を割り切る。
これが証明すべきことであった。
- 命題9ー30は、
A;奇数、
B;偶数
のとき、
A|B
ならば、
A|B/2
のことである。
- 命題9ー30は推論用命題である。
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