ユークリッド原論をどう読むか(11)
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ユークリッド原論
第7巻
命題7ー30(素数は積を割り切れば一方を割り切る)
もし
2つの数が
互いにかけあわせてある数をつくり、
2数の積を何らかの素数が割り切る
ならば、
それは
最初の2数の1つをも
割り切る
であろう。
2数A、Bが
互いにかけあわせてCをつくり、
何らかの素数Dが
Cを割り切る
とせよ。
-
「数(について)・・・とせよ」は、
コメント4(命題7ー1)参照のこと。
-
数A、B
に対して、
数C(;g=A×B)、
素数D[;;|C]
をとっている。
Dは
A、Bの1つを割り切る
と主張する。
Aを割り切らない
とせよ。
[......(a)]
そして
Dは素数である。
それゆえ
A、Dは互いに素である。
[......(1)]
-
命題7ー29(素数は倍数以外に対して素)
による。
-
A;(互いに素)D
となっている。
そして
DがCを割った商に等しい
個数の単位が
Eのなかにある
とせよ。
[......(a)]
-
命題の設定による。
-
数E(;;個数(E,単位)=商(C,D)=e)
をとっている。
そうすれば
DがCを割った商は
Eのなかにある単位の個数であるから、
Dは
EにかけてCをつくった。
ところが
Aも
BにかけてCをつくった。
それゆえ
D、Eの積は
A、Bの積に等しい。
ゆえに
DがAに対するように、
BがEに対する。
-
命題7ー19(4数の比例と内項・外項の積)
による。
-
D:A=B:E
となっている。
ところが
A、Dは
互いに素であり、
-
(1)による。
-
A;(互いに素)D
となっている。
【互いに】素である数は
最小でもあり、
-
命題7ー21(互いに素な数は同じ比の最小)
による。
-
(D:A);(最小)
となっている。
最小の数は
同じ比をもつ数を、
大きい数は大きい数を、
小さい数は小さい数を、
すなわち
前項は前項を、
後項は後項を割り切り、
その商は等しい。
-
命題7ー20(同じ比なら最小のが割り切る)
である。
-
D;|B、
A;|E
となっている。
したがって
DはBを割り切る。
同様にして
もし
Bを割り切らない
ならば、
Aを割り切る
であろうことを証明しうる。
よって
[2つの場合の結果により]
DはA、Bの1つを割り切る。
これが証明すべきことであった。
- 命題7ー30は、
数A、B
に対して、
素数D[;;|A×B]
をとれば、
D;|(A or B)
のことである。
- 命題7ー30は推論用命題である。
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