ユークリッド原論をどう読むか(7)
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ユークリッド原論
第3巻
命題3ー32(いわゆる接弦定理)
もし
円に直線が接し、
その接点から
円に対し円を切る直線が
ひかれるならば、
それが
接線となす角は
円の
反対側の切片内の角に
等しいであろう。
直線EFが
円ABCDに
点Bにおいて接するとし、
点Bから
円ABCDに
それを切る直線BDが
ひかれたとせよ。
-
公準1ー1の補足
(作図.任意の点をとる)
により、
円周上の
B以外のところに
Dをとる。
公準1ー1
(作図.直線)
により
BとDとを結ぶと
直線BDは、
定義3ー2の補足2
(切る)
により
円を切る。
-
円ABCD
に対して、
直線EF[;;(接)円ABCD]、
接点B(直線EF,円ABCD)、
点D[円ABCD,外.B]、
をとっている。
BDが
接線EFとなす角は
円の
反対側の切片内の角に
等しいであろう。
すなわち
FBDは
切片BAD内につくられた角に
等しく、
角EBDは
切片DCB内につくられた角に
等しい
と主張する。
Bから
EFに直角に
BAがひかれたとし、
【・・・(a)】
[
角ABFの内部にDがある場合は、
]
-
D;同側(AB,F)∩同側(BF,A)
となっている。
弧BD上に
任意の点Cがとられ、
-
公準1ー1の補足
(作図.任意の点をとる)
による。
-
点C[内.弧BD]
をとっている。
AD、DC、CBが
結ばれたとせよ。
-
公準1ー1
(作図.直線)
による。
-
線分AD、DC、CB
をとっている。
そうすれば
直線EFは
円ABCDにBにおいて接し、
- 命題の設定
による。
-
EF(接)円ABCD
となっている。
接点から
接線に直角に
BAがひかれたから、
円ABCDの中心は
BA上にある。
-
命題3ー19
(中心は接線の接点からの垂線上)
による。
-
中心.円ABCD;上.BA
となっている。
それゆえ
BAは
円ABCDの直径である。
-
定義1ー17
(直径)
による。
-
線分BA;直径.円ABCD
となっている。
ゆえに
角ADBは
半円内にあるから
直角である。
-
命題3ー31
(半円内の角は直角、半円より大小の切片内の角、切片の角)、
による。
-
∠ADB=∠R
となっている。
したがって
残りの角BAD、ABDの和は
直角に等しい。
-
命題1ー32
(三角形の内対角・内角の和)、
公理1ー3
(等しいものから等しいものをひく)
による。
-
∠BAD+∠ABD=∠R
となっている。
ところが
角ABFも
直角である。
それゆえ
角ABFは
角BAD、ABDの和に等しい。
-
公理1ー1
(同じものに等しい)
による。
-
∠ABF=∠BAD+∠ABD
となっている。
双方から
角ABDが
ひかれたとせよ。
そうすれば
残りの角DBFは
円の
反対側の切片内の角BADに
等しい。
【・・・(1)】
-
公理1ー3
(等しいものから等しいものをひく)
による。
なお、
切片BAD内の角は、
弧BADのどこにあっても、
命題3ー21
(切片内の角は等しい)
により等しい。
-
∠DBF=∠BAD
となっている。
そして
ABCDは
円に内接する四辺形であるから、
その対角の和は
2直角に等しい。
ところが
角DBF、DBEの和も
2直角に等しい。
-
定義1ー10
(直角)
による。
-
∠DBF+∠DBE=2∠R
となっている。
それゆえ
角DBF、DBEの和は
角BAD、BCDの和に等しく、
-
公理1ー1
(同じものに等しい)
による。
-
∠DBF+∠DBE=∠BAD+∠BCD
となっている。
そのうち
角BADは
角DBFに等しい
ことが証明された。
- (1)
による。
-
∠BAD=∠DBF
となっている。
ゆえに
残りの角DBEは
円の
反対側の切片DCB内の角DCBに等しい。
-
公理1ー3
(等しいものから等しいものをひく)
による。
-
∠DBE=∠DCB
となっている。
[
角ABFの外部にDがある場合は、
EとFの記号を付け替えればよい。
AとDが一致する場合は、
命題3ー31
(半円内の角は直角、半円より大小の切片内の角、切片の角)
により
半円内の角が直角であり、
角DBF、DBEは、
直角であるから、
円の反対側の切片内の、
すなわち半円内の角に等しい。
したがって、
3つの場合の結果により
角DBFは、
円の反対側の
切片内の角に等しい。]
よってもし
円に直線が接し、
その接点から
円に対して
円を切る直線がひかれるならば、
それが接線となす角は
円の
反対側の切片内の角に
等しいであろう。
これが証明すべきことであった。
- 命題3ー32は、
円ABCD
に対して、
直線EF[;;(接)円ABCD]、
接点B(直線EF,円ABCD)、
点D[円ABCD,外.B]、
点A'[円ABCD,内.反対側(BD,F)]、
点C[円ABCD,内.同側(BD,F)]
線分A'D、DC、CB
をとれば、
∠DBF=∠DA'B
∠DBE=∠DCB
のことである。
- 命題3ー32は推論用命題である。
前提 | 作図 | 推論
|
定義 |
|
1-10,1-17,3-2補2,補(題3-22)
|
公準 |
1-1,1-1補
|
|
公理 |
|
1-1,1-3
|
命題 |
1-11,3-1補2
|
1-32,3-19,3-21,3-22,3-31
|
その他 |
| 場合分け
|
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