ユークリッド原論をどう読むか(9)
頁末
前
次
目次
ユークリッド原論
第5巻
命題5ー23
(乱比例の等間隔比は同じ比)
もし
3つの
量
と
それらと同じ
個数
の別の
量
とがあり、
2つずつとられたとき
同じ比
をなし、
それらの
比例
が
《いれかえれる》[乱比例]ならば、
等間隔比
により
それらは
同じ比
をなすであろう。
量は、
定義5ー1の補足
による。
個数は、
定義5ー17の補足
による。
同じ比は、
定義5ー5
による。
比例は、
定義5ー6
による。
乱比例は、
定義5ー18
による。
等間隔比は、
定義5ー17
による。
3つの
量
A、B、Cと
それらと同じ
個数
の別の
量
D、E、Fとがあり、
2つずつとられたとき
同じ比《をなすとし》[であり]、
それら《の比例がいれかえれ、》
[が乱比例をなし、]
すなわち、
AがBに
対するように
、
EがFに
対し
、
BがCに
対するように
、
DがEに
対する
とせよ。
量A、B、C、E
に対して、
F[;;A:B=E:F]、
D[;;B:C=D:E]
をとっている。
AがCに
対するように
、
DがFに
対する
と主張する。
A、B、Dの[任意の]
同数倍
G、H、Kと
C、E、Fの別の任意の
同数倍
L、M、Nとが
とられたとせよ。
【・・・(a)】
推論の設定である。
同じ比をもつ線分の作図(仮想的)は、
コメント2(命題5ー4)
参照のこと。
(G、H、K)=p(A、B、D)、
(L、M、N)=q(C、E、F)
をとっている。
そうすれば
G、HはA、Bの
同数倍
であり、
【・・・(1)】
(a)
にある。
(G、H)=p(A、B)
となっている。
約量
は
それらの
同数倍
と
同じ比
をもつから、
(1)
,
命題5ー15
(同数倍の比)
である。
AがBに
対するように
、
GがHに
対する
であろう。
【・・・(2)】
命題5ー15
(同数倍の比)
による。
A:B=G:H
となっている。
同じ理由で
EがFに
対するように
、
MがNに
対する
。
【・・・(3)】
(a)
,
命題5ー15
(同数倍の比)
による。
E:F=M:N
となっている。
そして
AがBに
対するように
、EがFに
対する
。
命題の設定
による。
A:B=E:F
となっている。
それゆえ
GがHに
対するように
、MがNに
対する
。
【・・・(4)】
(2)
(3)
,
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
G:H=M:N
となっている。
また
BがCに
対するように
、DがEに
対する
から、
命題の設定
による。
B:C=D:E
となっている。
いれかえて
BがDに
対するように
、CがEに
対する
。
【・・・(5)】
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
による。
B:D=C:E
となっている。
そして
H、KはB、Dの
同数倍
であり、
(a)
による。
(H、K)=p(B、D)
となっている。
約量
はそれらの
同数倍
と
同じ比
をもつから、
命題5ー15
(同数倍の比)
である。
BがDに
対するように
、HがKに
対する
。
【・・・(6)】
(a)
,
命題5ー15
(同数倍の比)
による。
B:D=H:K
となっている。
ところが
BがDに
対するように
、CがEに
対する
。
(5)
による。
B:D=C:E
となっている。
ゆえに
HがKに
対するように
、CがEに
対する
。
【・・・(7)】
(6)
,
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
H:K=C:E
となっている。
また
L、MはC、Eの
同数倍
であるから、
(a)
による。
(L、M)=q(C、E)
となっている。
CがEに
対するように
、LはMに
対する
。
【・・・(8)】
命題5ー15
(同数倍の比)
による。
C:E=L:M
となっている。
ところが
CがEに
対するように
、HがKに
対する
。
(7)
,
命題5ー11の補足
(同じ比は互いに同じ)
による。
C:E=H:K
となっている。
したがって
HがKに
対するように
、LがMに
対し
、
(8)
,
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
H:K=L:M
となっている。
そしていれかえて
HがLに
対するように
、KがMに
対する
。
【・・・(9)】
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
による。
H:L=K:M
となっている。
GがHに
対するように
、
MがNに
対する
ことも先に証明された。
(4)
である。
G:H=M:N
となっている。
そこで
3つの
量
G、H、Lと
それらと同じ
個数
の別の
量
K、M、Nとがあり、
2つずつとられたとき
同じ比
をなし、
それらの
比例
がいれかえられたから、
等間隔比
により
もし
GがLより大きければ、
KもNより大きく、
等しければ、等しく、
小さけ
れば、
小さい
。
【・・・(10)】
(4)
(9)
,
命題5ー21
(乱比例の等間隔項の大等小)
による。
G(<、=、>)L
ならば、
K(<、=、>)N
となっている。
そして
G、KはA、Dの
同数倍
であり、
L、NはC、Fの
同数倍
である。
(a)
による。
(G、K)=p(A、D)、
(L、N)=q(C、F)
となっている。
したがって
AがCに
対するように
、
DがFに
対する
。
(10)
,
定義5ー5
(同じ比)
による。
A:C=D:F
となっている。
よってもし
3つの
量
と
それらと同じ
個数
の別の
量
とがあり、
2つずつとられたとき
同じ比
をなし、
それらの
比例
が《いれかえれる》[乱比例]ならば、
等間隔比
により
それらは
同じ比
をなすであろう。
これが証明すべきことであった。
本命題は、
公理の補足2(定義6ー5)
(比の合成・積は可換)の根拠
となる。
本証明は、
A、B、C、D、E、Fが同種の量である
ことを前提としている。
しかし、
本命題は、
A、B、Cという量とD、E、Fという量が
異なる種類の量である
としても成立する。
その証明は、
以下の通りである。
量A、B、C、E
に対して、
F[;;A:B=E:F]、
D[;;B:C=D:E]
をとる。
(G、H、K)=p(A、B、D)、
(L、M、N)=q(C、E、F)
をとると、
命題5ー15
(同数倍の比)
により、
A:B=G:H
E:F=M:N
となっている。
A:B=E:F、
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
により、
G:H=M:N
となる。
また、
B:C=D:E、
命題5ー4
(同じ比の項の同数倍)
により、
H:L=K:M
となる。
G:H=M:N、
H:L=K:M、
命題5ー21
(乱比例の等間隔項の大等小)
により、
G(<、=、>)L
ならば、
K(<、=、>)N
となり、
定義5ー5
(同じ比)
により、
A:C=D:F
となる。
命題5ー23
のこの証明においては、
次のようになる。
前提
作図
推論
定義
5-5
公準
公理
命題
5-4
,
5-11
,
5-15
,
5-21
その他
コ2(題5-4)
命題5ー23
は、
A:B=E:F、
B:C=D:E
ならば、
A:C=D:F
のことである。
命題5ー23
は推論用命題である。
前提
作図
推論
定義
5-5
公準
公理
命題
5-11
,
5-11補
,
5-15
,
5-16
,
5-21
その他
コ2(題5-4)
前
次
目次
頁頭