ユークリッド原論をどう読むか(8)
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ユークリッド原論
第4巻
命題4ー1
(作図.線分の挿入)
与えられた
円
に
円
の
直径
より
大きく
ない
与えられた
線分
に
等しい
線分
を
挿入
すること。
円は、
定義1ー15
による。
直径は、
定義1ー17
による。
大きいは、
公理1ー8
による。
線分は、
定義の補足(命題1ー1)
による。
等しいは、
公理1ー7
による。
挿入は、
定義4ー7
による。
与えられた
円
をABC、
円
の
直径
より
大きく
ない
与えられた
線分
を
Dとせよ。
円ABC
に対して、
線分D[;;D<=直径..円ABC]
をとっている。
このとき
円
ABCに
線分
Dに
等しい
線分
を
挿入
せねばならぬ。
円
ABCの
直径
BCが
ひかれたとせよ。
公準1ー1の補足
(作図.任意の点をとる)
により、
円周上の任意の点をとり、
それをCとする。
命題3ー1
(作図.円の中心)
により、
円の中心Gをとる。
公準1ー1
(作図.直線)
により、
GとCとを結ぶ。
公準1ー2
(作図.直線の延長)
により、
線分CGを直線に延長する。
命題3−1の補足2
(中心を通る直線は円周と2交点)
により、
直線CGは
円周とC以外のもう1点で交わる。
その点をBとし、
溯ってB、Cを用いている。
定義1ー17
(直径)
により、
線分BCは直径となる。
点C[円周ABC]、
交点B(円周ABC,延長(中心.円ABC,C))
線分BC;直径..円ABC
をとっている。
[BCが、
Dに等しい場合と
Dより大きい場合と
がある。
Dに等しい場合
]
そうすればもし
BCが
Dに
等しい
ければ、
BC=D
としている。
命じられたことは
なされているであろう。
なぜなら
円
ABCに
線分
Dに
等しい
BCが
挿入
されたから。
「なぜなら・・・であるから」については、
コメント2(命題1ー16)
を参照のこと。
ところがもし
BCがDより
大きけ
れば、
場合分けのもう1つの場合である。
BC>D
としている。
CEをDに
等しく
し、
命題1ー3の補足
(作図.等しい線分となる点)
による。
点E(CB;;EC=D)
をとっている。
Cを
中心
に、
CEを
半径
として
円
EAFが描かれ、
【・・・(a)】
公準1ー3
(作図.円)
による。
公準1ー2
(作図.直線の延長)
により、
半径CEを延長する。
命題3−1の補足2
(中心を通る直線は円周と2交点)
により、
直線CEは、
E以外に
もう1点で円周と交わる。
その点をHとする。
公理1ー8
(大きい)
により、
GHは
GCより大きい。
定義1ー16の補足2
(円の内部)
により、
Hは
円ABCの外部にあり、
Eは
内部にある。
定義1ー14の補足
(交わる(図形))
により、
もとの円は
後から描いた円と交わる。
命題3−5の補足
(2円の交点は2つ)
により、
2円の交点は
2つあり、
一方を改めてAとし、
他方をFとする。
Aを溯って用いている。
円(C,CE)、
交点A[円ABC,円(C,CE)]、
交点F(円ABC,円(C,CE);;外.A)
をとっている。
CAが結ばれたとせよ。
公準1ー1
(作図.直線)
による。
線分CA
をとっている。
そうすれば
点
Cは
円
EAFの
中心
であるから、
(a)
による。
C;中心.円EAF
となっている。
CAは
CEに
等しい
。
定義1ー15
(円)
による。
CA=CE
となっている。
ところが
CEは
Dに
等しい
。
(a)
による。
CE=D
となっている。
それゆえ
Dは
CAに
等しい
。
公理1ー1
(同じものに等しい)
による。
D=CA
となっている。
したがって、
2つの場合の結果により
円ABCに
Dに等しい線分が挿入された。
よって
与えられた
円
ABCに
与えられた
線分
Dに
等しい
CAが
挿入
された
これが
作図すべきものであった。
線分の挿入は、
直径より小さい線分に等しい
弦を
とることができるということである。
命題4ー1
は、
円ABC
線分D[;;D<=直径..円ABC]
に対して、
直径BC..円ABC、
点E(CB;;EC=D)、
交点A[円ABC,円(C,CE)]、
線分EA
をとれば、
EA=D
のことである。
命題4ー1
は作図用命題である。
前提
作図
推論
定義
1-14補
,
1-15
,
1-16補2
,
1-17
公準
1-1
,
1-1補
,
1-2
,
1-3
公理
1-1
,
1-8
命題
1-3補
,
3-1
,
3-1補2
3-5補
その他
場合分け,
コ2(題1-16)f
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