ユークリッド原論をどう読むか(6)
頁末
前
次
目次
ユークリッド原論
第3巻
命題3ー14(等しい弦と中心からの距離)
円において
等しい弦は
中心から等距離にあり、
中心から等距離にある
弦は
また互いに等しい。
ABCDを円、
AB、CDを
それにおける等しい弦とせよ。
-
円ABCD
に対して、
弦AB.円ABCD、
点C[円ABCD]、
交点D[円ABCD,円(C,AB)]
弦CD.円ABCD
をとっている。
AB=CD
となっている。
AB、CDは
中心から等距離にある
と主張する。
円ABCDの
中心がとられ、
それをEとし、
- 命題3ー1(作図.円の中心)
による。
-
中心E,円ABCD
をとっている。
EからAB、CDに
垂線EF、EGがひかれ、
【・・・(a)】
- 命題1ー11作図・線分からの垂線)
による。
-
垂線EF(E,AB;;F;上.AB)、
垂線EG(E,CD;;G;上.CG)、
をとっている。
AE、ECが結ばれたとせよ。
- 公準1ー1(作図.直線)
による。
-
線分AE、EC
をとっている。
そうすれば
中心を通る線分EFは
中心を通らない弦ABと
直角に交わり、
それを
また
2等分する。
-
AB(通)中心.円ABCD
ならば
AB;直径.円ABCD、
CD=AB
により
CD;直径.円ABCD
CD(通)中心.円ABCD
となり、
AB、CDとも、
中心からの距離は0で、
等しい。
-
(a)
,命題3ー3(直径と弦)
による。
-
EF⊥AB
F.中点(AB)
となっている。
それゆえ
AFはFBに等しい。
ゆえに
ABは
AFの2倍である。
同じ理由で
CDもCGの2倍である。
しかも
ABは
CDに等しい。
- 命題の設定
である。
-
CD=2×CG、
AB=CD
となっている。
したがって
AFも
CGにひとしい。
【・・・(1)】
- 公理1ー6の補足3(等しいもののn等分、n等分に等しいもの)
による。
-
AF=CG
となっている。
そして
AEは
ECに等しいから、
AE上の正方形は
EC上の正方形に等しい。
- 定義1ー22(正方形・矩形・菱形・長斜方形・トラペジオン)
による。
-
正方(_AE)=正方(_EC)
となっている。
ところが
Fにおける角は直角であるから、
AF、EF上の正方形の和は
AE上の正方形に等しい。
- 命題1ー47(三平方の定理)
による。
-
正方(_AF)+正方(_EF)=正方(_AE)
となっている。
また
Gにおける角も直角であるから
EG、GC上の正方形の和も
EC上の正方形に等しい。
- 命題1ー47(三平方の定理)
による。
-
正方(_EG)+正方(_GC)=正方(_EC)
となっている。
それゆえ、
AF、FE上の正方形の和は
CG、GE上の正方形の和に等しく、
【・・・(2)】
- 公理1ー1の補足(等しいものに等しい)
による。
-
正方(_AF)+正方(_EF)
=正方(_CG)+正方(_GE)
となっている。
AFは
CGに等しいから、
そのうち
AF上の正方形は
CG上の正方形に等しい。
- 定義1ー22(正方形・矩形・菱形・長斜方形・トラペジオン)
による。
-
正方(_AF)=正方(_CG)
となっている。
ゆえに
残りの
FE上の正方形は
EG上の正方形に等しい。
- (2)
,公理1ー3(等しいものから等しいものをひく)
による。
-
正方(_FE)=正方(_EG)
となっている。
したがって
EFは
EGに等しい。
ところが
円において
弦は
中心からそれにひかれた垂線が等しい時、
中心から等距離にあるといわれる。
よって、
AB、CDは
中心から等距離にある。
次に
弦AB、CDが
中心から等距離にある、
すなわち
EFが
EGに等しいとせよ。
ABも
CDに等しい
と主張する。
同じ作図がなされて、
同様にして
ABは
AFの、
CDは
CGの2倍である
ことを証明しうる。
【・・・(3)】
- (a)
,命題3ー3(直径と弦)
による。
-
AB=2×AF、
CD=2×CG
となっている。
そして
AEは
CEに等しいから、
AE上の正方形は
CE上の正方形に等しい。
- 定義1ー22(正方形・矩形・菱形・長斜方形・トラペジオン)
による。
-
正方(_AE)=正方(_CE)
となっている。
ところが
EF、FA上の正方形の和は
AE上の正方形に等しく、
EG、GC上の正方形の和は
CE上の正方形に等しい。
- 命題1ー47(三平方の定理)
による。
-
正方(_EF)+正方(_FA)=正方(_AE)、
正方(_EG)+正方(_GC)=正方(_CE)
となっている。
それゆえ
EF、FA上の正方形の和は
EG、GC上の正方形の和に等しく、
- 公理1ー1の補足(等しいものに等しい)
による。
-
正方(_EF)+正方(_FA)
=正方(_EG)+正方(_GC)
となっている。
EFは
EGに等しいから、
そのうち
EF上の正方形は
EG上の正方形に等しい。
- 定義1ー22(正方形・矩形・菱形・長斜方形・トラペジオン)
による。
-
正方(_EF)=正方(_EG)
となっている。
ゆえに
残りの
AF上の正方形は
CG上の正方形に等しい。
- 公理1ー3(等しいものから等しいものをひく)
による。
-
正方(_AF)=正方(_CG)
となっている。
したがって
AFは
CGに等しい。
【・・・(4)】
そして
ABは
AFの2倍であり、
CGは
CDの2倍である。
- (3)
による。
-
AB=2×AF、
CG=2×CG
となっている。
それゆえ
ABは
CDに等しい。
よって
円において
等しい弦は
中心から等距離にあり、
中心から等距離にある弦は
また
互いに等しい。
これが証明すべきことであった。
- 命題3ー14は、
円ABCD
中心E.円ABCD、
交点F(垂線(E,AB),AB)、
交点G(垂線(E,CD),CD)、
に対して、
弦AB.円ABCD、
=弦CD.円ABCD、
ならば、
EF=EG。
逆に、
EF=EG、
ならば、
弦AB.円ABCD、
=弦CD.円ABCD
のことである。
- 命題3ー14は推論用命題である。
前
次
目次
頁頭