ユークリッド原論をどう読むか(4)
頁末
前
次
目次
ユークリッド原論
第1巻
命題1−44(作図.線分,三角形,直線角と平行四辺形)
与えられた線分上に
与えられた三角形に等しい
平行四辺形を
与えられた直線角に等しい
角のなかに
つくること。
与えられた線分をAB、
与えられた三角形をC、
与えられた直線角をDとせよ。
このとき
与えられた線分AB上に
与えられた三角形Cに
等しい平行四辺形を
角Dに等しい角のなかに
つくらねばならぬ。
[ABの延長上にEをとり、]
角Dに等しい角EBGのなかに
三角形Cに等しい
平行四辺形BEFGが
作られた
とせよ。
【・・・(a)】
-
公準1ー2(作図.直線の延長)
により、
ABをBの方へ延長して、
AE'とし、
BE'上に、
命題1ー23(作図・直線上に指定された角)
により、
∠Dに等しい∠G'BE'をとり、
命題1−42(作図.角,三角形と平行四辺形)
により、
∠G'BE'の中に、
△Cに等しい平行四辺形BEFGをとる。
-
線分AB
に対して、
半直線BE'(延長AB)、
線分BG'[;;∠G'BE'=∠D,BG'=辺1.△C]、
点E"(同側(BG',E'),△BG'E"≡△C)、
中点G(BG')、
交点E(BE',平行線(E",BG))、
交点F(E"E,平行線(G,BE))、
平四BEFG
をとっている。
《ABが
BEと一直線をなすように
おかれ、》
FGがHまで延長され、
Aを通り
BG、EFのどちらかに平行に
AHがひかれ、
【・・・(b)】
- 命題1−31(作図・平行線)
による。
- 命題1−30(平行の平行)
により、
BG、EFのどちらに平行にひいても、
他方とも平行になる。
- FG、BGは
交わっているので、
命題1−30の補足(交線に平行な線)
により、
Aを通りBGに平行な直線は
FGと交わる。
その交点をHとする。
-
交点H(延長FG,平行線(A,BG)
をとっている。
HBが結ばれたとせよ。
- 公準1−1(作図.直線)
による。
-
線分HB
をとっている。
そうすれば
線分HFが
平行線AH、EFと交わるから、
角AHF、HFEの和は2直角に等しい。
- (b)
,命題1−29(平行と錯角、内対角、同側内角)
による。
-
∠AHF+∠HFE=2∠R
となっている。
それゆえ
角BHG、GFEの和は
2直角より小さい。
- BHGはAHGの部分であるから、
公理1−8(大きい)
により小さい。
-
∠BHG+∠GFE<2∠R
となっている。
そして
その和が2直角より小さい2角から
限りなく延長された
2直線は交わる。
ゆえに
HB、FEは
延長されるとき、
交わるであろう。
これらが
延長されKにおいて交わるとし、
-
前節による。
-
交点K(HB,FE)
となっている。
点Kを通り
EA、FHのどちらかに平行に
KLがひかれ、
- 命題1−31(作図・平行線)
による。
- 命題1−30(平行の平行)
により、
EA、FHのどちらに平行にひいても、
他方とも平行になる。
-
平行線KL'(K,EA)
をとっている。
HA、GBが
L、Mまで延長されたとせよ。
【・・・(c)】
- 公準1−2(作図.直線の延長)
による。
-
交点L(延長HA,KL')、
交点M(延長GB,KL')
をとっている。
そうすれば
HLKFは平行四辺形、
HKは
その対角線であり、
AG、MEは
HKをはさむ平行四辺形、
LB、BFは
いわゆる補形である。
それゆえ
LBはBFに等しい。
- 命題1−43(平行四辺形の補形)
による。
-
平四LB=平四BF
となっている。
ところが
BFは三角形Cに等しい。
ゆえに
LBもCに等しい。
- 公理1−1(同じものに等しい)
による。
-
平四LB=△C
となっている。
そして
角GBEは角ABMに等しく、
- 命題1−15(対頂角)
による。
-
∠GBE=∠ABM
となっている。
また
GBEはDに等しいから、
角ABMも角Dに等しい。
- 公理1−1(同じものに等しい)
による。
-
∠ABM=∠D
となっている。
よって
与えられた線分AB上に
与えられた三角形Cに等しい
平行四辺形LBが
Dに等しい
角ABMのなかにつくられた。
これが作図すべきことであった。
- この命題が、
直線図形を
指定された角におさまる
平行四辺形に
等積変形する第二歩である。
- 命題1-44は、
線分AB、
△C、
直線角D
に対して、
半直線BE'(延長AB)、
線分BG'[;;∠G'BE'=∠D,BG'=辺1.△C]、
点E"(同側(BG',E'),△BG'E"≡△C)、
中点G(BG')、
交点E(BE',平行線(E",BG))、
交点F(E"E,平行線(G,BE))、
平四BEFG、
交点H(延長FG,平行線(A,BG)、
交点K(HB,FE)、
平行線KL'(K,EA)、
交点L(延長HA,KL')、
交点M(延長GB,KL')
をとれば、
平四LB=△C
∠ABM=∠D
のことである。
- 命題1-44は作図用命題である。
前
次
目次
頁頭