ユークリッド原論をどう読むか(2)
頁末
前
次
目次
ユークリッド原論
第1巻
命題1ー15(対頂角)
対頂角
もし
2直線が互いに交わる
ならば、
対頂角を互いに等しくする。
-
直線は定義1ー4による。
-
対頂角は、
2直線が互いに交わってできる4つの角のうち、
隣り合わない2つの角のことであり、
2組ある。
(以下、定義の補足(命題1ー15)という。)
-
等しいは公理1ー7による。
2直線AB、CDが
点Eにおいて互いに交わる
とせよ。
-
直線AB、CD、
交点E(AB,CD)
をとっている。
角AECは角DEBに、
角CEBは角AEDに等しい
と主張する。
直線AEは直線CDの上に立ち、
角CEA、AEDをつくる
から、
角CEA、AEDの和は2直角に等しい。
【・・・(1)】
-
命題1ー13(直線と2直角1)
による。
-
∠CEA+∠AED=2×∠R
となっている。
また
直線DEは
直線ABの上に立ち
角AED、DEBをつくる
から、
角AED、DEBの和は2直角に等しい。
-
命題1ー13(直線と2直角1)
による。
-
∠AED+∠DEB=2×∠R
となっている。
そして
角CEA、AEDの和が
2直角に等しい
ことも先に証明された。
-
(1) による。
-
∠CEA+∠AED=2×∠R
となっている。
それゆえ
角CEA、AEDの和は
角AED、EDBの和に等しい。
-
前節、前々節、
公理1ー1(同じものに等しい)
による。
-
∠CEA+∠AED
=∠AED+∠EDB
となっている。
双方から角AEDが引き去られた
とせよ。
そうすれば
残りの角CEAは残りの角BEDに等しい。
-
公理1ー3(等しいものから等しいものをひく)
による。
-
∠CEA=∠BED
となっている。
同様にして
角CEB、DEAが等しい
ことも証明されうる。
よってもし
2直線が互いに交わる
ならば、
対頂角を互いに等しくする。
これが証明すべきことであった。
-
命題1-15は、
直線AB、CD、
交点E(AB,CD)
をとるならば、
∠AEC=∠DEB、
∠CEB=∠AED
のことである。
- 命題1-15は推論用命題である。
前
次
目次
頁頭