ユークリッド原論をどう読むか(4)
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ユークリッド原論
第1巻
命題1ー35(平行四辺形の等積変形1)
底辺
同じ底辺の上にあり
かつ
同じ平行線の間にある
平行四辺形は
互いに等しい。
- 平行四辺形(面積)における底辺は、
基底となっている動かさない辺をいう。
(以後、定義の補足(命題1ー35)(底辺)という。)
- 平行線は、定義1ー23による。
- 平行四辺形は、定義の補足(命題1ー34)による。
- ここにおいて、
等しいとは
切り貼りして互いに重ね合わせることができること
ということが明確になった。
ABCD、EBCFを
同じ底辺BC上にあり
かつ
同じ平行線AF、BCの間にある
平行四辺形とせよ。
-
線分BC
に対して、
線分AF‖BC、
点D(AF;;AD=BC)、
点E(AF;;EF=BC)、
平行四辺形ABCD、EBCF
をとる。
ABCDは
平行四辺形EBCFに等しいと主張する。
[Eが
ADの間にある場合と
ADの間にない場合とがある。
ADの間にない場合について、]
ABCDは
平行四辺形であるから、
ADはBCに等しい。
同じ理由で
EFもBCに等しい。
それゆえ
ADはまたEFに等しい。
- 公理1ー1(同じものに等しい)
による。
-
AD=EF
となっている。
そして
DEは共通である。
ゆえに
AE全体はDF全体に等しい。
【・・・(1)】
- 公理1ー2(等しいものに等しいものを加える)
による。
-
AE=DF
となっている。
しかも
ABはDCに等しい。
- 命題1ー34(平行四辺形の対辺・対角・対角線)
による。
-
AB=DC
となっている。
かくて、
2辺EA、ABはFD、DCに等しい。
- (1)
による。
-
(EA,AB)=(FD,DC)
となっている。
そして
角FDCは角EABに、
外角は内[対]角に等しい。
ゆえに
底辺EBは
底辺FCに等しく、
三角形EABは
三角形FDCに等しいであろう。
- 命題1ー4(2辺挟角相等)
による。
-
△EAB≡△FDC
となっている。
双方から
DHEが引き去られたとせよ。
そうすれば
残りの不等辺四辺形ABGDは
残りの不等辺四辺形EGCFに等しい。
- 公理1ー3(等しいものから等しいものをひく)
による。
- 等しいということが、
面積、
つまり
長さと幅とがかかわる広さに
関するものであることがわかる。
-
四辺形ABGD=四辺形EGCF
となっている。
双方に
三角形GBCが加えられたとせよ。
そうすれば
平行四辺形ABCD全体は
EBCF全体に等しい。
- 公理1ー2(等しいものに等しいものを加える)
による。
-
平行四辺形ABCD=平行四辺形EBCF
となっている。
よって
同じ底辺の上にあり
かつ
同じ平行線の間にある
平行四辺形は
互いに等しい。
- Eが
ADの間にある場合ついては、
共通なDEを引くことで、
三角形EABとFDCが
等しくなることが示され、
四角形DBCAを双方に加えることで、
平行四辺形ABCDとEBCFが
等しいことが示される。
これが証明すべきことであった。
- 面積の定義を明示的に与えず、
公理1ー7(等しい)、
公理1ー8(大きい)
により、大小関係を論じている。
- 命題1-35は、
線分BC
に対して、
線分AF‖BC、
点D(AF;;AD=BC)、
点E(AF;;EF=BC)、
平行四辺形ABCD、EBCF
をとれば、
平行四辺形ABCD=平行四辺形EBCF
のことである。
- 命題1-35は推論用命題である。
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