ユークリッド原論をどう読むか(13)
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ユークリッド原論
第9巻
命題9ー35(順次比例の2項ー初項:末項ー初項)
もし
任意個の数が順次に比例し、
第2項と末項から
それぞれ初項に等しい数が引き去られる
ならば、
第2項と初項との差が
初項に対するように、
末項と初項との差が
末項より前のすべての項の和に対する
であろう。
- 数は、
定義7ー2による。
- 順次に比例は、
定義の補足(命題8ー1)による。
- 項は、
定義5ー8の補足による。
- 初項・末項は、
定義の補足(命題8ー7)による。
- 等しいは、
公理1ー7による。
- 対する・ようには、
定義の補足3(命題5ー11)による。
最小である数Aから始まり、
順次に比例する任意個の数
A、BC、D、EFがある
とし、
BC、EFから
Aに等しいBG、FHが
それぞれ引き去られた
とせよ。
-
「数(について)・・・とせよ」は、
コメント4(命題7ー1)
参照のこと。
-
準一般的な証明である。
コメント2(命題5ー1)
参照のこと。
-
A、BC、D、EF(順次に比例)
BG=A、FH=A、
BCーBG=GC、
EFーFH=EH
となっている。
GCがAに対するように、
EHがA、BC、Dの和に対する
と主張する。
FKをBCに等しく、
FLをDに等しく
せよ。
[......(a)]
そうすれば
FKはBCに等しく、
そのうち
FHはBGに等しい
-
前節、
命題の設定による。
-
FK=BC。
FH=BG
となっている。
から、
残りのHKは残りのGCに等しい。
[......(1)]
-
前節、
公理1ー3(等しいものから等しいものをひく)
による。
-
HK=GC
となっている。
そして
EFがDに対するように、
DがBCに、
BCがAに対し、
DはFLに、
BCはFKに、
AはFHに等しい
から、
EFがFLに対するように、
LFがFKに、
FKがFHに対する。
分割比により
ELがLFに対するように、
LKがFKに、
KHがFHに対する。
定義5ー15(比の分割・分割比)
それゆえ
前項の一つが
後項の一つに対するように、
前項の総和が
後項の総和に対する。
ゆえに
KHがFHに対するように、
EL、LK、KHの和が
LF、FK、HFの和に対する。
-
前節、前々節による。
-
KH:FH
=EL+LK+KH:LF+FK+HF
となっている。
ところが
KHはCGに、
FHはAに、
LF、FK、HFの和は
D、BC、Aの和に等しい。
-
(1)、
命題の設定、
(a)による。
-
KH=CG、FH=A、
LF+FK+HF=D+BC+A
となっている。
したがって
CGがAに対するように、
EHがD、BC、Aの和に対する。
それゆえ
第2項と初項との差が
初項に対するように、
末項と初項との差が
末項より前のすべての項の和に対する。
これが証明すべきことであった。
- 命題9ー35は、
A1、A2、…、An、An+1;順次比例
ならば、
(A2−A1):A1
=(An+1−A1):(A1+A2+…+An)
のことである。
- 命題9ー35は推論用命題である。
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