ユークリッド原論をどう読むか(13)
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ユークリッド原論
第9巻
命題9ー32(順次2倍数と偶数倍の偶数倍)
2から始まり
順次に2倍された数のおのおのは
偶数倍の偶数[である]のみである。

任意個の数B、C、Dが
2であるAから始まり
順次に2倍された
とせよ。
B、C、Dは偶数倍の偶数[である]のみである
と主張する。
さて
B、C、Dのおのおのが
偶数倍の偶数である
ことは明らかである。
なぜなら
2から始まり順次に2倍された
から。
-
「なぜなら・・・であるから」は、
コメント2(命題1ー16)
参照のこと。
-
B=2×2、C=2×4、
D=2×8
という意味である。
-
偶数倍の偶数という形式で
表現される
ということである。
それのみである
ことをも主張する。
-
偶数倍の偶数という形式
以外の形式で
表現されない
という意味である。
単位が措定された
とせよ。
そうすれば
任意個の数が
単位から始まり順次に比例し、
単位の次の数Aが素数である
-
1、A(2)、B(4)、
C(8)、D(16)
となっている。
から、
A、B、C、Dのうち最大な数Dは
A、B、C以外の他のいかなる数にも
割り切られない
であろう。
-
前節、前々節
命題9ー13(素数の累乗はその累乗だけが割り切る)
による。
そして
A、B、Cのおのおのは偶数である。
したがって
Dは偶数倍の偶数[である]のみである。
-
背理法の仮定として
D=偶数×奇数
という表現や
D=奇数×奇数
という表現をもつ
ならば、
Dは奇数で割り切れる
から
奇数の約数をもつ。
偶数以外の約数をもたない
ことと矛盾する。
したがって
D=偶数×偶数
という表現のみである。
同様にして
B、Cの双方も
偶数倍の偶数のみである
ことを証明しうる。
-
BまたはCが最後になる
順次に比例する数を
考えればよい。
これが証明すべきことであった。
- 命題9ー32は、
A1;2、
An+1=2×An
ならば、
An;偶数倍の偶数
のことである。
- 命題9ー32は推論用命題である。
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