ユークリッド原論をどう読むか(9510)
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ユークリッド原論

第5巻

命題5ー10(比の大小と量の大小)
同一のに対して
 をもついくつかののうち、
 大きい比をもつ
 大きい
そして
 同一の
 それに対して大きい比をもつ
 小さい


AがCに対し、
 BがCに対するより
 大きい比をもつとせよ。

Aは
 Bより大きいと主張する。
 
もし大きくなければ、
 AはBに等しいか、
 小さいかである。
さて
 AはBに等しくはない。
なぜなら[もし]
 等しければ
 A、Bの双方は
 Cに対して
 同じ比をもったであろう。
ところが
 もっていない。
それゆえ
 AはBに等しくない。 【・・・(1)】
Aは
 また
 Bよりも小さくはない。
なぜなら[もし]
 小さければ
 AはCに対し、
 BがCに対するより
 小さい比をもったであろう。
ところがもっていない。
ゆえに
 AはBより小さくはない。
等しくないことも
 先に証明された。
したがって
 AはBより大きい

また
 CがBに対し、
 CがAに対するより
 大きい比をもつとせよ。

BがAより小さい
 と主張する。

もし
 小さくないならば、
 等しいか、
 大きいかである。
そこで
 Bは
 Aに等しくはない。
なぜなら[もし]
 等しければ
 Cは
 A、Bの双方に対して
 同じ比をもったであろう。
ところが
 もっていない。
それゆえ
 AはBに等しくない。【・・・(2)】

また
 Bは
 Aより大きくもない。
なぜなら[もし]
 大きければ
 CはBに対し、
 CがAに対するより
 小さい比をもったであろう。
ところが
 もっていない。
ゆえに
 BはAより大きくない。
等しくないことも
 先に証明された。
したがって
 Bは
 Aより小さい


よって
 同一のに対して
 をもついくつかののうち、
 大きい比をもつ
 大きい
そして
 同一の
 それに対して大きい比をもつ
 小さい
これが証明すべきことであった。
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