ユークリッド原論をどう読むか(7)
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ユークリッド原論
第3巻
命題3ー20(中心角は円周角の2倍)
底辺
中心角
円周角
円において
角が
同じ弧を底辺とするとき、
中心角は
円周角の2倍である。
- 円は、
定義1ー15
による。
- 角は、
定義1ー8
による。
- 弧は、
定義1ー18の補足
による。
- 底辺は、
定義1ー20の補足2
にあるが、
ここでは、
円周上の点と
弧の両端とを結んでできる
図形を
三角形に見立てて、
中心角、円周角の対辺となる
弧の部分を
底辺と
呼んでいる。
以下、
定義の補足(命題3ー20)(底辺)という。
- 中心角は、
弧の両端と
中心とを結んでできる
2つの半径のなす角である。
以下、定義の補足2(命題3ー20)(中心角)という。
- 円周角は、
弧の両端と
円周上の点とを結んでできる
2つの弦のなす角である。
以下、
定義の補足3(命題3ー20)(円周角)という。
- 倍は、
定義の補足(公理1ー5)
による。
ABCを円とし、
BECをその中心角、
- Eは、
命題3ー1
(作図.円の中心)
による。
-
公準1ー1
(作図.直線)
-
円ABC
に対して、
中心E.円ABC、
点B[円周ABC]、
点C[円周ABC;;C;外.B]、
∠BEC;中心角.円ABC
となっている。
BACを円周角とし、
それらが
同じ弧BCを底辺とするとせよ。
-
点A[円周ABC;;A;(外.B、外.C)]、
∠BAC;円周角.円ABC
となっている。
角BECは
角BACの2倍である
と主張する。
AEが結ばれ、
-
公準1ー1
(作図.直線)
-
線分AE
をとっている。
による。
Fまで延長されたとせよ。
[弧BC上にある場合]
そうすれば
EAは
EBに等しいから、
角EABも
角EBAに等しい。
-
命題1ー5
(2等辺三角形の底角)
による。
-
∠EAB=∠EBA
となっている。
それゆえ
角EAB、EBAの和は
角EABの2倍である。
ところが
角BEFは
角EAB、EBAの和に等しい。
-
命題1ー32
(三角形の内対角・内角の和)
による。
-
∠BEF=∠EAB+∠EBA
となっている。
ゆえに
角BEFも
角EABの2倍である。
【・・・(1)】
-
公理1ー1の補足
(等しいものに等しい)
による。
-
∠BEF=2∠EAB
となっている。
同じ理由で
角FECも
角EACの2倍である。
したがって
角BEC全体は
角BAC全体の2倍である。
[弧CA上にある場合]
もう1度
線分が折り曲げられ《たとし》[て]、
別の角BDCがあるとし、
DEが結ばれ、
-
公準1ー1
(作図.直線)
による。
-
線分DE
をとっている。
Gまで延長されたとせよ。
-
公準1ー2
(作図.直線の延長)
により、
DEが
Eの方向に延長される。
前半と同様の理由により
延長した部分は
円周と1点で交わる。
その点をGとする。
Gは
弧CA上にある。
-
交点G(延長DE,弧AB)
をとっている。
同様にして
角GECは
角EDCの2倍であり、
そのうち
GEBは
EDBの2倍である。
それゆえ
残りのBECは
[残りの]BDCの2倍である。
-
公理1ー7
(等しい)
による。
-
∠GEC=2∠EDC、
∠GEB=2∠EDB、
∠BEC=2∠BDC
となっている。
[弧BA上にある場合
も同様である。]
よって
[3つの場合の結果により]
円において
角が
同じ弧を底辺とするとき、
中心角は
円周角の2倍である。
これが証明すべきことであった。
-
命題3ー20は、
円ABC
に対して、
中心E.円ABC、
点B[円周ABC]、
点C[円周ABC;;C;外.B]、
∠BEC;中心角.円ABC、
点A[内.弧BC]、
∠BAC、
をとれば、
∠BEC=2∠BAC
のことである。
-
命題3ー20は推論用命題である。
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