ユークリッド原論をどう読むか(5)
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ユークリッド原論
第2巻
命題2ー13(鋭角三角形の余弦定理)
鋭角三角形において
鋭角の対辺の上の正方形
は
鋭角をはさむ2辺の上の正方形の和より、
鋭角をはさむ辺の一つと、
この辺へと垂線が下され、
この鋭角への垂線によって
内部に切り取られた線分とに
かこまれた矩形の2倍だけ小さい。
ABCを
Bに鋭角をもつ鋭角三角形
とし、
点Aから
BCに垂線ADがひかれた
とせよ。
- 命題1ー12(作図・線分への垂線)
による。
-
△ABC(;;∠B<∠R)、
点D(BC、AD⊥BC)
をとる。
AC上の正方形
は
CB、BA上の正方形
の和より
CB、BDにかこまれた矩形の2倍
だけ小さい
と主張する。
線分CB
は
Dにおいて任意に分けられた
から、
CB、BD上の正方形の和
は
CB、BDにかこまれた矩形の2倍と
DC上の正方形と
の和に等しい。
-
前節、
命題2―7(差の平方)
による。
-
正方(_CB)+正方(_BD)
=2×矩形(CB、BD)+正方(_DC)
となっている。
双方に
DA上の正方形が加えられた
とせよ。
そうすれば
CB、BD、DA上の正方形の和
は
CB、BDにかこまれた矩形の2倍と
AD、DC上の正方形と
の和に等しい。
【・・・(1)】
-
前節、
公理1ー2(等しいものに等しいものを加える)
による。
-
正方(_CB)+正方(_BD)+正方(_DA)
=2×矩形(CB、BD)
+正方(_DC)+正方(_DA)
となっている。
ところが[一方では]
Dにおける角
は
直角である
から、
AB上の正方形
は
BD、DA上の正方形の和に等しい。
-
前節、
命題1ー47(三平方の定理)
による。
-
正方(_BD)+正方(_DA)=正方(_AB)
となっている。
[よって、
CB、BD、DA上の正方形の和
は
CB、AB上の正方形の和に等しい。]
【・・・(2)】
-
前節、前々々節、
公理1ー2(等しいものに等しいものを加える)
による。
-
正方(_CB)+正方(_BD)+正方(_DA)
=正方(_CB)+正方(_AB)
となっている。
そして[他方では]
AC上の正方形
は
AD、DC上の正方形
の和に等しい。
-
命題の設定、
命題1ー47(三平方の定理)
による。
-
正方(_DC)+正方(_DA)=正方(_AC)
となっている。
[双方に
CB、BDにかこまれた矩形の2倍を加えられた
とせよ。
そうすれば、
AD、DC上の正方形と
CB、BDにかこまれた矩形の2倍との和
は、
AC上の正方形と
CB、BDにかこまれた矩形の2倍と
の和に等しい。
-
前節、
公理1ー2(等しいものに等しいものを加える)
による。]
-
正方(_DC)+正方(_DA)
+2×矩形(_CB、BD)
=正方(_AC)+2×矩形(_CB、BD)
となっている。
ゆえに
CB、BA上の正方形の和
は
AC上の正方形と
≪方形≫[矩形]CB、BDの2倍と
の和に等しい。
-
前節、(1) 、(2) 、
公理1ー1の補足(等しいものに等しい)
による。
-
正方(_CB)+正方(_AB)
=正方(_AC)+2×矩形(CB、BD)
となっている。
したがって
AC上の正方形のみ
では
CB、BA上の正方形[
の和]より
CB、BDにかこまれた矩形の2倍
だけ小さい。
よって
鋭角三角形において
鋭角の対辺の上の正方形
は
鋭角をはさむ2辺の上の正方形
の和より、
鋭角をはさむ辺の一つと、
この辺へと垂線が下され、
この鋭角への垂線によって
内部に切り取られた線分とに
かこまれた矩形の2倍
だけ小さい。
これが証明すべきことであった。
- いわゆる余弦定理の鋭角三角形の場合である。
- 命題2-13は、
△ABC(;;∠B<∠R)
に対して、
点D(BC、AD⊥BC)
をとれば、
正方(_CB)
=正方(_CA)+正方(_AB)
ー2×矩形(CA、AD)
のことである。
- 命題2-13は推論用命題である。
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