ユークリッド原論をどう読むか(4)
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ユークリッド原論
第1巻
命題1ー37(三角形の等積変形1)
同じ底辺の上にあり
かつ
同じ平行線の間にある三角形は
互いに等しい。
ABC、DBCを
同じ底辺BCの上にあり
かつ
同じ平行線AD、BCの間にある
三角形とせよ。
-
線分BC
に対して、
点A[外.BC]、
平行線AD(A,BC)、
三角形ABC、DBC、
をとっている。
三角形ABCは
三角形BDCに等しいと主張する。
ADが
両方向にE、Fまで延長され、
- 公準1ー2(作図.直線の延長)
による。
- Aについて
Dと反対側にEがあり、
Dについて
Aと反対側にFがある
ようにしている。
-
反対側は、定義1ー4の補足2(同じ側・反対側(直線))
による
-
AEとDFが重ならない、
この場合については、
命題1ー35(平行四辺形の等積変形1)
で原論が証明している場合である。
Bを通りCAに平行に
BEがひかれ、
- 命題1ー31(作図・平行線)
により平行線がひかれ、
命題1ー30の補足(交線に平行な線)
により
この平行線とADの延長が交わる。
この交点を溯ってEとしている。
-
交点E(DA,平行線(B,CA))、
線分BE
をとっている。
Cを通りBDに平行に
CFがひかれたとせよ。
【・・・(1)】
そうすれば
EBCA、DBCFの双方は
平行四辺形である。
しかも等しい。
【・・・(2)】
なぜなら
同じ底辺BCの上にあり
かつ
同じ平行線とBC、EFの間にあるから。
そして
三角形ABCは
平行四辺形EBCAの半分である。
なぜなら
対角線ABがそれを2等分するから。
また、
三角形DBCは
平行四辺形DBCFの半分である。
なぜなら
対角線DCがそれを2等分するから。
-
「なぜなら・・・であるから」については、
コメント2(命題1ー16)を参照のこと。
-
命題1ー34(平行四辺形の対辺・対角・対角線)
による。
-
△ABC=平四EBCA/2
△DBC=平四DBCF/2
となっている。
ゆえに
三角形ABCは
三角形DBCに等しい。
- (2)
,公理1ー6(同じものの半分)
による。
-
△ABC=△DBC
となっている。
よって
同じ底辺の上にあり
かつ
同じ平行線の間にある
三角形は互いに等しい。
これが証明すべきことであった。
- 蛇足であるが、
共立出版のユークリッド原論縮刷版
第1刷(1996年)の図(p.27)は、
間違っていて、
DBCFが平行四辺形とならず
ABCFが平行四辺形となっている。
- 命題1-37は、
△ABC、△DBC
について、
AD‖BC
ならば、
△ABC=△DBC
のことである。
- 命題1-37は推論用命題である。
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