ユークリッド原論をどう読むか(3)
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ユークリッド原論
第1巻
前号に引き続き、
ユークリッド原論について紹介する。
今回の部分に即して、
原論の論証の特徴について
若干説明すると、
例えば命題1ー30の
2本の平行線に交わる1本の直線が、
2本のうちの1本と平行な別の直線と
交点をもつかどうかについて、
論証されずに、
図による直観的なもので流されている。
本論考においては、
この点について、
原論の定義・公準・公理を幾分補足しつつ、
当該箇所について
論証をコメントとして追加し、
命題1ー30の補足としている。
実は、
この追加部分が
公準1ー5(所謂平行線公理)と同値であり、
その後の論証においても
重要な役割を果たす。
また、
命題1ー31について、
その公準1ー5を前提とせずに
成立していることに論及した。
このことについて言えば、
Euclid's Elements
(Clark University Professor D.E.Joyceの
http://aleph0.clarku.edu/~djoyce/java/elements/elements.html)
においては、
本論考と同じく、
1本の直線とその直線上にない点について、
その点を通り
その直線に平行な直線が
唯一であることを追記しているが、
公準1ー5を前提とせずに
錯角が等しい平行線が
存在することの意義については
指摘していない。
こうしたことを踏まえ、
論理の流れをあまり乱さない程度において、
公準1ー5と同値となる命題
すなわち、
命題1ー29、命題1ー30、命題1ー30の補足、
命題1ー31の補足、命題1ー32
について、同値性を論証した。
そのあたりに注目していただくとありがたい。
なお、
本文の論理の筋道が
明白になるように
語句を補ったところは
[ ]で示してある。
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