ユークリッド原論をどう読むか(13)
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(13)はじめに
今回は、
第9巻である。
この巻にも
新たな定義はなく、
扱う内容は、
第7巻、第8巻に引き続き
数、
すなわち
自然数である。
この巻のハイライトは
何と言っても
完全数の構成を扱った
命題9ー36(構成.完全数)
である。
単位から始まり2^nに終わる2のべきの和が素数
であれば
その和と2^nの積は完全数
であるという
例の命題である。
命題の分類として、
構成と位置付けた
が、
上記の和が素数であるとは限らない。
初めの方の
3、7、15、31までは素数
であるが、
そこから続く
63、127、255、・・・
は、当分の間、合成数である。
次に登場するのは、
2^13ー1=8191
2^17ー1=131071
2^19ー1=524287
2^31ー1=2147483647
2^31ー1が素数であることの証明は
フェルマがからみ、
オイラーで決着した
といわれている。
原論以来、
優に2000年を経過している。
原論が、
数学発展の原動力
として
永きにわたって作用してきた
ことを見る思いがする。
命題9ー36(構成.完全数)
に至るのに
重要な役割を果たすのが
命題9ー13(素数の累乗はその累乗だけが割り切る)
命題9ー35(順次比例の2項ー初項:末項ー初項)
であるが、
これらをちりばめながら
平方数、立方数、
順次に比例する数、
素数、偶数、奇数、
と論理を積み上げてくるのである。
第7巻で定義したことがらが、
第9巻の終わりまで進んで
ようやく出揃ったことになる。
なお、
本文を読むに当たって、
次のことに留意いただきたい。
第9巻にあたり、繰り返しておく。
-
・印が付いている部分が解説である。
-
以下の命題において、
原典はギリシャ文字であるが、
通常のアルファベット(A、B、C・・・)を用いる。
-
定義された用語、定義、公準、公理は
太文字で、
筆者が原論の本文を踏まえて、
補足して定義した
用語、定義の補足、公準の補足、公理の補足は
太斜体で、
記述している。
それぞれ定義・補足しているところでは
赤字で示している。
-
直線を並べる図は、
エクセルを用いて描いた。
-
特に、印をつけていない部分が、
ユークリッド原論の日本語訳で、
共立出版の中村幸四郎他訳
1996年6月25日付縮刷版第1刷による。
-
< >は
筆者による大まかな分類である。
ほんの少しではあるが、
必要に応じて、
本文を、
《 》で削り、
[ ]で補って、
意味を通じやすくした。
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