ユークリッド原論をどう読むか(3)
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ユークリッド原論
第1巻
命題1ー33(等しく平行な2線分)
等しくかつ平行な2線分を
同じ側で結ぶ2線分は
それ自身等しくかつ平行である。
- 等しいは、公理1ー7による。
- 平行は、定義1ー23による。
- 線分は、定義1ー4の補足による。
- 同じ側は、
定義1ー7の補足によるが、
ここでは、
平行な2線分の
それぞれの端点どうしを結んでできる2線分が、
その一方の線分について、
他方の線分が
すべて同じ側にあるという意味である。
つまり、
結んでできる2線分が
交わらないということである。
AB、CDが
等しくかつ平行であるとし、
線分AC、BDが
それらを
[つまり、
線分ACについて線分BDを、
線分BDについて
線分ACを、]
同じ側で結ぶとせよ。
-
線分AB
に対して
点C[外.AB]、
線分AC、
点D(平行線(C,AB),同側(AC,B);;CD=AB)、
線分BD
をとっている。
AC、BDも等しくかつ平行であると主張する。
BCが結ばれたとせよ。
- 公準1ー1(作図.直線)
による。
-
線分BC
をとっている。
ABはCDに平行であり、
BCはそれらに交わるから、
錯角ABC、BCDは互いに等しい。
【・・・(1)】
- 命題1ー29(平行と錯角、内対角、同側内角)
による。
-
∠ABC=∠BCD
となっている。
そしてABはCDに等しく、
BCは共通であるから、
2辺AB、BCは
2辺BC、CDに等しい。
また角ABCは角BCDに等しい。
- (1)
による。
-
(AB,BC)=(BC,CD)、
∠ABC=∠BCD
となっている。
それゆえ
底辺ACは底辺BDに等しく、
三角形ABCは三角形BCDに等しく、
残りの2角は残りの2角に等しい。
すなわち
等しい辺が対する角はそれぞれ等しい。
【・・・(2)】
- 命題1ー4(2辺挟角相等)
による。
-
AC=BD、
△ABC≡△BCD
となっている。
そして
2直線AC、BDに
線分BCが交わり錯角を
互いに等しくしているから、
ACはBDに平行である。
- 命題1ー27(錯角と平行)
による。
-
AC‖BD
となっている。
そして
それに等しいことも先に証明された。
よって
等しくかつ平行な2線分を
同じ側で結ぶ2線分は
それ自身等しくかつ平行である。
これが証明すべきことであった。
- この命題は
平行四辺形について述べているのではない。
- 命題1-33は、
線分AB
に対して、
線分CD‖AB、
CD=AB、
D;同側(AC,B)、
線分AC、BD
をとれば、
AC=BD、
AC‖BD
のことである。
- 命題1-33は推論用命題である。
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