ユークリッド原論をどう読むか(12)
頁末
前
次
目次
(12)はじめに
今回は、
第8巻である。
この巻には
新たな定義はなく、
扱う内容は、
第7巻に引き続き
数、
すなわち
自然数である。
自然数を素材とする
順次に比例する数
というのが、
第8巻の主役である。
順次に比例する
という場合
前後の項の比について
複数のものを繰り返す
場合も
命題8ー4にある
ように
視野に置いている
が、
ここでの中心は
比が一定である
場合である。
すなわち、
有限な等比数列を扱っている
と
イメージすればよい。
しかし、
その扱いは、
あくまで
比例として
である。
同じ比、
同じ項数の
順次に比例する数
において、
最小のもの、
初項と末項とが互いに素となるもの、
などを軸として、
2項どうしの比例と同様な性質を
展開して行く。
指定された初項と末項の間に、
比例中項を挿入する
のも
1つのテーマである。
比例中項の挿入可能な
初項と末項は何か
という観点から
平面数、立体数が取り扱われ、
それらに対応する性質が
並行して展開されて行く。
論理の展開で
重要な役割を果たしているのは
命題8ー2(構成.順次に比例する最小の数)
と
命題8ー8(同じ順次比例での項の挿入)
である。
徐々に
存在感が増してくるところを
味わっていただきたい。
この巻から
論理の展開を見やすく
するために
コメントにおいて、
根拠となることがらと
論理を展開する命題とを
明示する
ようにした。
前節、前々節
という表現は、
その命題において、
コメントで区切られた
本文の叙述
を指している。
また、
比例中項数が
存在を命題で保証された
ならば、
コメントで具体的に構成する
ようにし、
今日的な式表現も
コメントに併記する
ようにした。
なお、
本文を読むに当たって、
次のことに留意いただきたい。
第8巻にあたり、繰り返しておく。
-
・印が付いている部分が解説である。
-
以下の命題において、
原典はギリシャ文字であるが、
通常のアルファベット(A、B、C・・・)を用いる。
-
定義された用語、定義、公準、公理は
太文字で、
筆者が原論の本文を踏まえて、
補足して定義した
用語、定義の補足、公準の補足、公理の補足は
太斜体で、
記述している。
それぞれ定義・補足しているところでは
赤字で示している。
-
図は、
大阪府教育センターの教材コンテンツ「EG」を
用いて描いた。
-
特に、印をつけていない部分が、
ユークリッド原論の日本語訳で、
共立出版の中村幸四郎他訳
1996年6月25日付縮刷版第1刷による。
-
< >は
筆者による大まかな分類である。
ほんの少しではあるが、
必要に応じて、
本文を、
《 》で削り、
[ ]で補って、
意味を通じやすくした。
前
次
目次
頁頭