ユークリッド原論をどう読むか(9502)
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ユークリッド原論
第5巻
命題5ー2(同数倍の和2)
(倍量の和は倍量)
第1の量が第2の、
第3が第4の
同数倍であり、
第5が第2の、
第6が第4の
同数倍であるならば、
第1と第5の和が第2の、
第3と第6の和が第4の
同数倍であろう。
- 量は、定義5ー1の補足
による。
- 同数倍は、定義5ー5の補足
による。
- 初めの2つの同数倍は、
それぞれ独立である。
すなわち、
異なる個数である。
3つめの同数倍は、
初めの2つの同数倍(個数)の和である。
第1の量ABが第2のCの、
第3のDEが第4のFの
同数倍であるとし、
そして
第5のBGが第2のCの、
第6のEHが第4のFの
同数倍であるとせよ。
-
AB=mC、
DE=mF、
BG=nC、
EH=nF
をとっている。
第1と第5の和AGが第2のCの、
第3と第6の和DHが第4のFの
同数倍である
と主張する。
ABがCの、
DEがFの
同数倍であるから、
-
命題の設定
による。
-
AB=mC、
DE=mF
となっている。
ABのなかにある
Cに等しい量と同数の、
Fに等しい量が
DEのなかにある。【・・・(1)】
- 定義5ー5の補足(同数倍)
による。
-
個数(AB,C)=個数(DE,F)=m
となっている。
同じ理由で
BGのなかにある
Cに等しい量と同数の、
Fに等しい量が
EHのなかにある。【・・・(2)】
-
個数(BG,C)=個数(EH,F)=n
となっている。
それゆえ
AG全体のなかにある
Cに等しい量と同数の、
Fに等しい量が
DH全体のなかにある。
ゆえに
AGがCの何倍《であ》[にな]ろうと、
DHも
Fの同じ倍数であろう。
したがって
第1と第5の和AGが
第2のCの、
第3と第6の和DHが
第4のFの
同数倍であろう。
-
定義5ー5の補足(同数倍)
による。
-
個数(mC+nC,C)=個数(mF+nF,F)
ということである。
よってもし
第1の量が第2の、
第3が第4の
同数倍であり、
第5が第2の、
第6が第4の
同数倍であるならば、
第1と第5の和が
第2の、
第3と第6の和が
第4の
同数倍であろう。
これが証明すべきことであった。
- 命題5ー2は、
個数(mC+nC,C)=個数(mF+nF,F)=m+nのことである。
したがって、
小さい量(基準とする大きさ)が何であろうと、
それについて
任意の倍量と別の任意の倍量との和は、
定義5ー2(倍量)
により、
倍量である。
(以下、命題5ー2の補足(倍量の和は倍量)という。)
mC+nC=(m+n)Cのことである。
-
命題5ー2の補足(倍量の和は倍量)
前提 | 作図 | 推論 |
定義 |
|
5-2
|
公準 |
|
|
公理 |
|
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命題 |
|
5-2
|
その他 |
|
|
- 命題5ー2は推論用命題である。
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