ユークリッド原論をどう読むか(3)
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ユークリッド原論
第1巻
命題1ー25(三角形の角と底辺2)
もし二つの三角形において
2辺が2辺にそれぞれ等しく、
底辺が底辺より大きいならば、
等しい線分にはさまれる角も
一方が他方より大きいであろう。
ABC、DEFを
2辺AB、ACが2辺DE、DFにそれぞれ等しい、
すなわちABはDEに、ACはDFに等しい
三角形とせよ。
そして
底辺BCが底辺EFより大きいとせよ。
-
△ABC
をとり、
点C'[BC;;BC'+CA>AB,AB+BC'>CB]
をとり、
命題1ー22(作図・3線分から三角形)
により、
線分DE、BC'、DF
から
△DEF
をとる。
-
(AB,AC)=(DE,EF)、
BC>EF
となっている。
角BACも角EDFより大きいと主張する。
もし大きくないならば、
それに等しいか小さいかである。
ところで
角BACは角EDFに等しくない。
なぜなら[もし
角BACが角EDFに等しいとすると
-
「なぜならもし」については、
コメント(命題1ー4)を参照のこと。
-
第二段階の背理法の仮定である。
-
∠BAC=∠EDF
としている。
]
底辺BCも底辺EFに等しくなるであろう。
-
命題1ー4(2辺挟角相等)
による。
-
BC=EF
となっている。
ところがそうではない。
それゆえ
角BACは角EDFに等しくはない。
【・・・(1)】
- 第二段階の背理法による。
-
∠BAC≠∠EDF
となっている。
また
角BACは角EDFより小さくもない。
なぜなら
[もし角BACが角EDFより小さいとすると
]
底辺BCも底辺EFより小さくなるであろう。
ところがそうではない。
それゆえ
角BACは角EDFより小さくない。
また、
等しくないことも先に証明された。
ゆえに
角BACは>角EDFより大きい。
よってもし
二つの三角形において
2辺が2辺にそれぞれ等しく、
底辺が底辺より大きいならば、
等しい線分にはさまれる角も
一方が他方より大きいであろう。
これが証明すべきことであった。
- 命題1-25は、
△ABC、△DEF
について、
(AB,AC)=(DE,DF)、
BC>EF
ならば、
∠BAC>∠角EDF
のことである。
- 命題1-25は推論用命題である。
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